大聖堂の床と、写真展

大聖堂の床と、写真展

【2017年7月】イタリアシチリア島南部にある町、ラグーサの新市街ラグーサ・スペリオーレでは、大聖堂を見学しました。

1718~78年にバロック様式で建てられた大聖堂で、正式名はサン・ジョヴァンニ・バッティスタ大聖堂といいます。

ここのハイライトは、床です。

ガイドさんの説明によると、この辺りでは原油が出ていたそうで、原油に至る前の、地表から約600メートルの地層にある石が使われているとのこと。

油を含んでいて、200度に熱すると液状になり、磨くと黒光りするのだそうです。

大聖堂の床は、このピエトラ・ペーチェという石の黒地に、コーミゾ(最寄りの空港がある町)の大理石による模様が描かれているという話でした。

床の写真を何枚も撮った後、コルソ・イタリア通りを進み、いよいよ旧市街ラグーサ・イブラへ。

旧市街の眺めは「おぉっ」と思わず声をあげた素晴らしさです。

古くて崩れかかったような、地味な色合いの古い家々が積み重なった風景は、以前に行ったマテーラを思い出させました。

好きだな~、こういう景色。

画才でもあれば、丸一日、ここに座って、この景色を絵にするのですが・・・

この見晴らしの良い地点に、ラグーサで最古のサンタ・マリア・デッレ・スカーレ教会があります。

13世紀に建てられた小さな教会で、1693年の大地震で壊れなかった15世紀に作られた柱廊などが残っています。

そこから谷を越えて、リパブリック広場Piazza della Repubblica)で車を停め、周囲を歩き回りました。

ところで、ラグーサはユネスコの世界遺産「ヴァル・ディ・ノートの後期バロック様式の町々」の一つに含まれています。

専門的には何もわかりませんが、この後期バロック様式の建物というのは、全体として外観がごてごてっとした印象です。

特に、バルコニーに特徴があり、手すりが派手なだけでなく、バルコニーを支える石細工が凝っています。

たまたま、写真展が開かれていたので広場の近所のコセンティーニ邸に入って、中も見てみました。

内部は案外、あっさりしていました。

この屋敷は、18世紀後半に建てられた貴族の館だそうです。

写真展そのものは、いろいろな写真家によるもので、世界各地の街角がアーティスティックに切り取られた作品が多かったです。

こんなところでロンドンのうちの近所の風景を見ると、妙に懐かしい気分になりました。

それから、その先のサンタ・マリア・デッリトリア教会にも入ってみました。

青いドームが素敵な教会です。

1740年に完成したマルタ騎士団の教会なのだそうで、確かに、教会内にはマルタ十字がありました。

ちなみに、ラグーサの町から南に下って海に面したところにあるポッツァッロの港からマルタまでは、船でたった1時間半の距離なのだそうです。