ティラミス発祥の地を巡り論争激化

【2017年8月】イタリアの最も人気のあるデザートの一つ、ティラミスの発祥の地を巡って、イタリア国内で論争が沸騰している。農業・食料大臣がこのほど、「ティラミスはトリエステを州都とするフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州で生まれた」と宣言したことが、論争の火に油を注いだ形だ。

ティラミスの発祥地はかねて、フリウリ州かヴェネト州かで見方が分かれている。一般には1970年にヴェネト州のトレヴィソにあるレストラン「ベッケリエ」で生まれたと言われている。しかし、それ以前の1940年代にティラミスと呼ばれる同様のお菓子がトリエステの近所で誕生したという文献も存在している。

今回、大臣の宣言を導いたのは、「Storia, Curiosita, Interpretazioni del Dolce Italiano piu Amato」という書籍。イタリアのお菓子を歴史的に検証した本で、この中でティラミス誕生の地は、フリウリ州のゴリツィアとウディネであり、トレヴィソではないと明言されている。

これを知ったヴェネト州の州知事は間髪入れずに反論。大臣の宣言に対し正式に再検討を求めた。「調べさえすれば、ティラミスがヴェネト州発祥であることは明らか。大臣が間違った情報を得て決定を下しただけだと良いが」と述べている。

原文はこちらです。

参考にした背景説明はこちらです。

ちなみに、上述のレストラン「ベッケリエ」は70年あまりの営業の末、今年3月末に閉店したのだそうです。企業による会食が激減したのが直接の原因ですが、店主は「伝統を守りすぎて、時代の変遷を無視したのがよくなかった」と述べているとのことです。