タラウのアンネ

タラウのアンネ

【2014年9月】リトアニアクライペダには18世紀半ばに建てられた家々が並ぶ旧市街があります。

通りは、歩きにくいほどの不ぞろいの石畳。

かわいらしいこの一角の中心は、劇場広場です。

写真の像はここに立っているアンネちゃん。

クライペダで生まれた17世紀の詩人のジーモン・ダッハはあるとき、この少女アンネに一目ぼれしました。

けれど、彼女にすでに婚約者がおり、実らぬ恋に終わってしまいました。

ダッハは彼女に捧げて「タラウのアンネという詩を書いたそうです。

この詩は今でもドイツ語圏ではよく知られているんだそうです。

それで、1912年にベルリンの彫刻家がこの像を作ったとのこと。

さらに面白いのは、第二次大戦中、この像がいつの間にかなくなっていたんですって。

誰が盗んだか、不明のままですが、地元でもらった案内書に「彼女の後ろにある劇場で熱演を振るったヒトラーに尻を向けていたのを不遜と思ったナチスの誰かが壊したか、もしくはそこら中のある物全てを略奪したソ連兵のしわざかもしれない」と書いてありました。

この英語の案内書「Klaipeda in your pocket」は、あらゆるところに皮肉っぽいコメントが添えられていて、なかなか面白かったです。

そういうわけで、現在ある像は1990年に作り直されたものだそうです。

像の後ろの「ドラマ劇場」は1857年に建てられたもので、現在は改装工事中。

ヒトラーは1939年にここのバルコニーでクライペダ(当時はメーメルブルク)を併合すると宣言したんだそうです。

劇場広場では小さい市場が形成されていて、名産の琥珀をはじめとした工芸品を売っていました。