【2022年9月】イタリアのミラノから日帰りで、エミリア・ロマーニャ州のグラッツァーノ・ヴィスコンティという村へ遠足しました。
ヴィスコンティと言えば、中世にミラノを中心に絶大な力を持った貴族で、有名な映画監督のルキノ・ヴィスコンティもその流れを汲んでいます。
そして、この村もしかり。
もともとは14世紀末にベアトリーチェ・ヴィスコンティと夫のジョヴァンニ・アングイッソラがここに砦を建てたのが始まりですが、今あるのは、1910年に修復された城と、その周囲に築かれた芸術と工芸の村です。
この村は失業者を救うという目的もあって作られたそうです。
夫が調べたところによると、春から秋の週末にのみ一般公開しているとのこと。
古く見える可愛らしい建物がカフェやレストラン、店になっていて、言ってみれば大人向けディズニーランドのようなものですが、築100年を超えているので、アンティークではあるわけです。
イタリア人は本当に、可愛らしく見せるのが上手。
どちらを向いても、写真を撮りたくなる光景でした。
お城の見学はツアーのみで、1人€16(2200円ほど)と安くありませんでしたが、せっかくなので参加することに。
2時半からの回しか空いていなかったので、それまでニョッコフリットのレストランで、ハムとチーズの盛り合わせ+小瓶のワインの軽いランチを取りました。
なかなか良い雰囲気。
名前が不明な美味しい食後酒も付けてくれたし。
ちょこちょこ買い物もしているうちに2時半となり、ツアーの開始。
城を修復して村を築いたのは、ジュゼッペ・ヴィスコンティ・ディ・モドローネ公爵で、妻との間に7人の子供がいたそうです。
このカップルが別居した際、7人のうち3人が公爵とともに、この城に残り、残り4人が妻と共にミラノの家に移ったとのこと。
ルキノ・ヴィスコンティはミラノに行った中の一人だったそうです。
残った3人の中の一番ハンサムな男性が跡取りとなり、2015年までここに住んでいました。
修復の主のモドローネ公爵は、この跡取り息子が金髪で可愛かったので、女の子の装いをさせて、この子の絵を描いたり写真を撮ったりしたそうです。
このお城は外観は中世の城のようですが、内装にはいろいろな時代のデザインが混ざっていて、村の工芸家の作品や、本物のアンティークも置かれているとのこと。
そのデザインには耽美派の詩人のダヌンツィオも関わったそうです。
確かに、ダヌンツィオの家を彷彿させるごてごてした内装でした。
城の修復や村の構築には当時、批判も多かったそうですが、公爵は批判に直接応えることはなく、ただ、要所要所に本人のモットーだと言われる「人の言うことには耳を貸すな」という言葉が刻まれているとか。
このモドローネ公爵は、当時の女王エレナ・デル・モンテネグロのスポークスマン的な役割を果たしていて、その関係で、女王がよく訪れていたそうで、『女王の部屋』と名付けられた部屋も。
ガイドさんは「もしかしたら、不倫関係にあったのかもしれないと言われていますが、証拠はありません」と言っていました。
その他もいろいろと盛りだくさんの内容で、とても面白かったのですが、残念なことに、屋内は写真厳禁でした。
この日はお天気の良い日曜日で、観光客がたくさん。
歴史ある古い村ではありませんが、一度行ってみる価値のあるところでした。