【2022年9月】イタリアのシチリア島、ラグーサ・イブラでのツアー、次に行ったのはTeatro Donnafugata という劇場です。
建物の脇からこっそり入るような形で、ツアー用の通用口なのかな、と思ったのですが、ここが一般人の入口だそうです。
もともとは、貴族個人の劇場で、庶民に公開したのは、割と最近のことだとのこと。
そして、貴族だけが入れた頃には、立派な正面入り口から入っていたそうで、そちら側も見せてくれました。
そちらには、アーチ型の高い天井の両脇に大理石の円柱が何本も立っていて、威風堂々。
こちらから、一般庶民を入れないというのは、なぜなのでしょうか。
通路には、小さな祭壇があったり、昔の映写機があったり。
そして入った劇場は、こじんまりしていますが、暖かみのある良い雰囲気です。
小さいのですが、ガイドさんによると、130人収容できるとのこと。
そして、ミラノのスカラ座と同じ演目を上演しているという話でした。
2階の貴賓席にも上ってみました。
突き当りに質素で何ともつまらないドアがあり、カギがかかっています。
実はこの劇場、今も人が住んでいるPalazzo Arezzo di Donnafugata というお屋敷の一部なのです。
それで、このドアは居住空間と劇場をつないているのだそうで、お屋敷の住民はこのドアを通って劇場にお出ましになるという話でした。
映画の場面のようですね。
正面玄関から一般市民を入れないのも、劇場が居住空間と一緒になっているからかもしれません。
地図で確認したら、4月25日通りとvia Orfanotrofio に挟まれた区画の、少なくとも半分をこの屋敷が占めています。
この貴族、Arezzo家の家紋はハリネズミ。
劇場にも掲げてありました。
ハリネズミをシチリアではRizz0と呼ぶそうで、苗字のArezzoとかけて、この家紋となっているという話でした。
ちなみに、ラグーサから南西に18キロほど行った所には、Arezzo家の別荘だったCastello di Donnafugata というお城があるそうです。
今はラグーサ市の持ち物で、衣装博物館になっているとのこと。
ルキノ・ヴィスコンティの映画「山猫」の中で、クラウディア・カルディナーレが着た衣装も、ここにある衣装をコピーしたもので「一見の価値ありますよ」とガイドさんが薦めていました。
私達は余裕がなくて行けませんでしたけど。
劇場の次は、最初にツアーの看板を見かけたお屋敷の見学です。
ガイドさんはここまでで、このお屋敷はArezzo男爵自ら案内してくれます。
ツアーで一緒だった誰かがガイドさんに「男爵は普段、何の仕事をしているのか」と尋ねたようで、ガイドさんが「自分の家を人々に見せることだけです」と言っているのが聞こえました。
何となく、笑いを誘う言い方でした。