【2025年4月】イタリアのエミリア・ロマーニャ州にあるパルマは、ハムやチーズの方が有名ですが、大聖堂も見ものです。
何しろ、「中世の宗教芸術の傑作」だとネットに書いてありました。
以前にも行ったことはあるのですが、今回、ロンドンから来た友達とともに、あらためてその芸術に浸りました。
まずは大聖堂の脇にあるバプティストリーに入りました。
大聖堂は無料ですが、こちらは有料で、博物館も含めて一人€12(65歳以上は€10)。
1196年に着工され、13世紀半ばに完成したもので、外壁のピンクっぽい大理石はヴェローナ産だそうです。
でも、圧巻なのは天井です。
このフレスコ画は13世紀のものだとか。
一緒に行った技術肌の友達が、「今の技術でこれを作ろうと思っても無理だ」と感動していました。
社会科見学の子供たちがたくさんいましたが、こうした本物の芸術に触れながら育つイタリアの子供は、贅沢だなあと思った次第。
大聖堂の方は、前日行ったクレモナの大聖堂と似た重厚な内装。
どちらの大聖堂も、入り口には溶けたようなひょうきんなライオン像が2体ありました。
ライオンというとヴェネツィアを思い出しますが、教会の前にライオン像があるのは、ライオンが聖なる空間を守る存在であるという古代オリエントからの観念が引き継がれているからなのだそうです。
古代オリエントというと、チグリス・ユーフラテス川などの辺りですが、昔々はそのあたりにもライオンがいたということですね。
そういえば、最後にロンドンの大英博物館に行ったときに、アッシリアの王様がライオン狩りをしているレリーフを見たのを思い出しました。
大聖堂の見ものは、主祭壇のドームに描かれたコッレッジョという画家による「聖母被昇天」というフレスコ画。
1526~30年のもので、天井が開けて天国が現れるように見せるトロンプルイユという技法を革新的に用いた作品なのだそうです。
「あら、でも似たのをナポリでも見たわ」と思ったのですが、検索したら、コッレッジョの手法を引き継いだ画家が何人もいて、あちらこちらにこうしたドームがあるそうです。
ちょっとトレビアですが、トロンプルイユという技法はそもそも、古代ローマから始まったそうで、数か月前に見たポンペイ遺跡のフレスコ画もそれに当たるのだとか。
それから最近、行ったカスティリオーネ・オロナのコッレジャータ教会のフレスコ画を描いたマゾリーノもその手法の作家として有名なのですって。
旅行をすると、いろいろな事が繋がって、納得しながら学べるのが嬉しいですね。