【2025年6月】イタリアのエミリア・ロマーニャ州への小旅行、最後に訪れたのは、サン・セコンド・パルメンセという町です。
眠ったような小さな町ですが、ここにRocca dei Rossi というお城があります。
勝手には入れず、ツアーで巡る形になっていました(一般€8、65歳以上は€6)。
14世紀末~15世紀初めに要塞として築かれた城ですが、16世紀には居城として豪華に改装されたそうです。
中世に騎士だったロッシ家が代々住んでいたとのこと。
私たちは、天井のフレスコ画が豪華な部屋を見て回りました。
中にイソップの童話の場面がいくつも描かれた部屋が。
これは、一家の子供たちに「人を簡単に信用してはいけない」など、人生のさまざまな教訓を学ばせるためだったとか。
猫に鈴を付けようとするネズミの話の絵もあり、「良いアイデアも実行できなければ意味がない」という教えだそうです。
今でもイソップの物語は世界中で有名ですが、中世のこの時代にも親しまれていたのですね。
そもそも、イソップは紀元前5~6世紀の人だそうですから、イソップ物語は聖書よりロングセラー。
人の生活の真理は変わらないということですね。
騎士の一家だったため、フレスコ画の図柄は勇ましいものが多かったです。
家主が参加した戦いをいくつも描いた部屋もありました。
半面、芸術をテーマにした女性の部屋というのもありました。
ある部屋の暖炉には逸話が。
ある時代の家主が、若い女性に恋をしましたが、女性が拒絶したため、彼女を殺したといいます。
やっぱり、武力を仕事にする男ですから、乱暴者だったのですね。
で、その際に飛び散った女性の血のせいで、その暖炉は赤いのだそうです。
そしてそれ以来、その部屋には亡霊が出るということでした。
こうした部屋の多くは、天井は豪華でも壁は白塗りだったりします。
なぜかというと、ペストが流行した際に、石灰には抗菌作用・消毒効果があると経験的に知られていたため、壁を白く塗ることで感染を防ごうとしたためです。
ただ、最後に案内された大広間は壁にも一面、フレスコ画が描かれていて目を見張る豪華さでした。
ここも実は白塗りされていたのですが、20世紀に入ってから、丹念に漆喰をはがしたところ、その裏から美しい絵が現れたのだそうです。
この部屋はSala delle Gesta Rossiane(ロッシ家の偉業の間)で、訪れた人にロッシ家の英雄伝を見せつけて権威を示したとのこと。
でも、栄枯盛衰で、ロッシ家が途絶えた後、スフォルツァ家が買い取ったものの、資金繰りのために家具などを売り払って放っておかれたらしいです。
その後、市の持ち物となり、2007年まで市庁舎として使われていたそうです。
イタリアではよく、歴史的建造物が町役場になっている例が見かけられますね。