【2022年8月】イタリアのシチリア島にある歴史的な町、シラクサは、数学者、物理学者などとして知られるアルキメデスの故郷です。
アルキメデスというと、古代ギリシャの賢人で、「イタリア人じゃないんじゃないの?」ととっさに思うわけですが、アルキメデスが生まれたころ、シラクサはギリシャだったのですね。
シラクサで滞在型夏休みを過ごしていたこの日は、締め切りのある仕事をこなしながら、昼休みに散歩に出かけたのですが、この時にアルキメデス像に気づきました。
オルティージャ島とシチリア本土を結ぶ橋の途中に、ちんまりと佇んでいます。
これだけ世界的に有名な歴史的な人物を出していながら、現代のシラクサではアルキメデスは割と地味な存在です。
先日のウォーキングツアーのガイドさんも、「もうちょっと大きな像があっても良さそうなものですが」と言っていました。
彼よりもギリシャ神話のアレトゥーザの方がずっとクローズアップされていて、アルキメデス広場(Piazza Archimede)にある噴水も、彼ではなく、アレトゥーザとアルテミスの像です。
とはいえ、このアルキメデス広場の脇にアルキメデス博物館があります。
入りませんでしたが。
それから新市街のロータリーに大きなπの像がありました。
πは紀元前3世紀ごろにアルキメデスの計算で導き出されたものらしいです。
学生の頃には親しんだπも、今の生活では全く無縁ですけれどー。
さて、この散歩の途中に目についたもう一つの物は、Open Armsという船です。
私はぼんやり見ていただけでしたが、夫が「あ、これは。。。」と注目。
Open Arms というのは、アフリカから命からがらゴムボートなどで渡って来る難民を海上で救って欧州に連れてくるスペインのチャリティー団体です。
イタリアは地理的にアフリカに面しているため、こうした移民を受け入れざるを得ない立場にあります。
難民・移民問題は本当に難しい問題です。
自国の戦争や差別のせいで命が危ない難民は助けるべきでしょうが、業者に大金を払って経済的な理由で渡って来る移民は、単なる不法移民ではないでしょうか。
私も移民の一人ですが、いろいろな正規の手続きを踏んで、それなりに苦労して英国の住民権を得たものです。
強硬的に入国を試みる移民の中にはテロリストがいる可能性もあり、おいそれと入国させるのはどうかと思います。
数年前にはドイツ人活動家が、イタリアの沿岸警備隊の船に自分の船をぶつけるという乱暴なことまでして、こうした移民を上陸させようとした事件がありました。
この活動家はいったん逮捕されたのですが、ドイツなどからの圧力があって、結局、釈放されました。
まあ、海上で漂っている人々を助けるというそのこと自体には賛同しますが、それだけでなく、その後のこともちゃんと考えた上で、助ける活動をすべきでしょう。
多数の移民を上陸させて、後はその国任せ、というのでは、あまりに無責任。
こうした活動があることがアフリカ諸国に知られ、ゴムボートで渡っても安全だなどと思われたら、ますます事故が増えるだけでなく、不法移民が増えてしまうのではないでしょうか。
個人的な見解ですけれどね。
ちなみに、このOpen Arms の船は、修理のためにシラクサに停泊していたようでした。