【2024年1月】今回のイタリア、シチリア島のパレルモ旅行で最後に訪れたのは、パラッツォ・ステリというお屋敷でした。
一人€8(約1350円)で、ガイドさんについて回ります。
このお屋敷はもともと、シチリア島の有力貴族、キアラモンテ家の本拠でしたが、14世紀にシチリア島がスペインの統治下に入り、取り上げられたそうです。
スペインは1492年のレコンキスタを経て、カトリックのキリスト教国であることを宣言したのに伴って、本当にキリスト教徒かどうかを審査する裁判があり、それに絡んだ牢屋が、この屋敷内に設置されました。
ユダヤ教徒排斥などの歴史的事実は聞いていましたが、審査というプロセスがあったのは知りませんでした。
ユダヤ教やイスラム教から改宗した振りをする人も多かったのだそうです。
また、カトリック以外のキリスト教徒も牢屋入りでした。
牢屋跡にはたくさんの落書きが。
200年使われたので、幾重にも重なって落書きが残っているそうです。
地面の砂につばや血をまぜたり、レベルの高い囚人にはろうそくが与えられたので、それを使った落書きも。
かなり高いところにも描かれているのは、ベッドが二段どころか、かなり天井近くにまで何段にも積み重ねられていたからなのだそうです。
残っている落書きには宗教画が多かったですが、中にはひょうきんなものも。
一部屋には、6~16人が入れられたそうです。
次に見たのは、居住部分にあるSala Magna という大きな部屋の天井。
1377年に作り始められたムデハル調の木の天井で、細かい絵が描かれていて見事です。
描かれているのは、騎士道的な恋愛、決闘、狩りなどのシーンで、最近の修復で生き返ったのだそうです。
パレルモでは、こうした木製の天井は、教会以外では稀だったとのことでした。
最後に見たのは、シチリア出身のイタリアの画家、レナート・グットゥーゾの大作「ヴッチリア市場」でした。
ガイドさんが指摘したように、カラフルな市場の光景で、一瞬、明るい絵に見えるけれど、人々が皆、暗い表情で伏し目がち。
これが描かれた1974年ごろは、マフィアの全盛期で、人々が誰にも目を合わせないようにしていたのを映しているのだという話でした。
ぱっと見て好きな絵だと思いましたが、この説明を聞いて、ますます面白く感じました。
それで、売店で売っていたこの絵をモチーフにした小さい袋を買いました。
やっぱりガイドさんに説明を聞きながら回ると、充実感がありますね。
このガイドさんは、私だけのために、英語でも説明してくれました。
小柄な賢そうな人でした。
パレルモ滞在もこれでおしまい。
エアビーに戻ったら、もう、オーナーのフランチェスカさんが来ていて、ひとしきりおしゃべり。
彼女は一人でこのエアビーをきりもりしているのだそうです。
本当に良いエアビーアンドビーでした。