マンゴーという聖人

マンゴーという聖人

【2023年10月】スコットランドへの小旅行、最終日にはグラスゴー市内のウォーキングツアーに参加しました。

朝の10時半から始まり、ジョージ・スクエアが起点

スコットランド、グラスゴーのジョージ・スクエア
ジョージ・スクエアがウォーキングツアーの起点

ハッキリ話すリズという名のおばさんガイドで、分かりやすかったです。

順を追わずに、印象深かった話をまとめておこうと思います。

ジョージ・スクエアに面した立派な市庁舎は内部のツアーが午前に2回あり、行く価値があるとのこと。

これは次回の課題として残し、その後、建物をまわって行った中庭にある紋章の話。

鳥や木、鐘、魚が組み合わされてできた紋章なのですが、これは全て、グラスゴーの守護聖人である聖マンゴーが蘇らせた物なのだそうです。

マンゴーだなんて、果物と洋服店しか知りませんでしたが、聖人がいたそうです。

もっとも、果物と洋服店がMangoであるのに対し、聖人はMungoと微妙に異なります。

スコットランド、グラスゴーの市庁舎にある紋章には、聖マンゴーが蘇らせた物が組み込まれている
聖マンゴーにちなんだ市庁舎の紋章

聖マンゴーは6世紀初めに生まれ、100年近く生きた人だそうです。

蘇らせた物のうち、魚についてはリズが面白い逸話を披露してくれました。

御妃の不貞を疑った王様が、結婚指輪を見せろと言い出します。

王様は御妃が結婚指輪を失くしたことを知っていたのです。

御妃は聖マンゴーに泣きつきました。

聖マンゴーはクライド川から一匹の魚を釣り上げ、そのお腹の中から指輪を見つけ出したという話でした。

その疑り深い王様と、その御妃がその後幸せに暮らしたかどうかは知りませんが。

スコットランド、グラスゴー市内に描かれた聖マンゴーとその母
赤ん坊の聖マンゴーとお母さん

市庁舎から少し歩いた所に、大きな壁画がありました。

SMUGというアーティストの大作で、母親が赤ん坊を抱いている絵です。

この女性は未婚の母で、昔の話ですから、迫害されて殺されかけたところ、辛うじて生き残って駆け込んだ修道院で出産しました。

生まれた子供が聖マンゴーだということです。

同じ建物の反対側には、聖マンゴーがホームレスとして描かれた同じ作家の壁画がありました。

どちらも、現代を生きる人の姿として描かれているのが特徴。

2016年の作品なのだそうです。

スコットランド、グラスゴーの大聖堂付近の街灯にも、聖マンゴーにちなんだものが
聖マンゴーが蘇らせた物がモチーフになった街灯

ちなみに、この建物は赤レンガでできています。

産業革命時代、安価な資材として使われ始め、工場労働者が多数、詰め込まれていたという話でした。

今はむしろ、トレンディー。

リズは「娘の2人が、こうした建物の家を買った」と話していました。

グラスゴー大聖堂付近の街灯にも、聖マンゴーが生き返らせた物をあしらった装飾があります。

私にとっては、この日まで知らなかった聖人ですが、グラスゴー市民には存在感の大きい心のよりどころなのでしょうね。