【2024年12月】年末に、イタリアのミラノにある小さい劇場、ジェロラモ劇場に行きました。
夫がネット上で見つけた劇場です。
1868年にオープンしたという歴史的な劇場ですが、収容できるのはたった209人。
もともと、人形劇マリオネットの劇場だったそうで、伝統的な風刺劇のキャラクター、プルチネッラをフィーチャーした人形劇を上演していたといいます。
けれど、安全性に問題があるとして、1983年に閉鎖に。
その後、改装工事をして2017年に再オープンしたそうです。
目立たない入り口で、見つけるのに一苦労。
ホールは手狭ですが、改装されたとあって、小ぎれいです。
そして観客席は、薄緑色でまとめられていて、可愛らしいイメージ。
エレガントな佇まいから、「スカラ座のミニチュア」と呼ばれているそうです。
私たちの席は、正面に近い2階のボックス席の前二つで、劇場がよく見渡せたし、演奏者たちが身近に感じました。
以前、シチリア島のラグーサでも小さい劇場を見たなと思って振り返ってみたら、ここよりもっと小さくて、130人収容でした。
さて、ここで私たちが観たのは、クリスマス・コンサートです。
オーケストラ・シンフォニカ・ディ・ミラノという弦楽器8人による演奏で、普段はスカラ座のオーケストラで演奏している人も含まれていました。
演目はモーツァルトの交響曲40番とか、ベートーベンのロマンス第2番とか、ポピュラーな曲ばかりで楽しめました。
ベートーベンの交響曲5番を8人でやった時には、さすがに、ちょっと野心的過ぎるなと思ったのですが、これは邪道ではないのですって。
というのも、演奏者の一人が説明してくれたところによると、録音ができなかったベートーベン達の時代、作曲家は自分の曲を多くの人々に聞かせるために、数人編成のバンドに新曲を演奏して回ってもらっていたそうなのです。
だから、5番もその昔は、こうした小編成のグループが、あちらこちらで演奏していたということでした。
ちょっと物足りない感じもしましたが、そう聞くと、これもこれで面白いなと思った次第。
この演奏会、中休みには、最上階の喫茶室で、パネットーネとプロセッコがふるまわれました。
なかなか粋なことをするではありませんか。
このジェロラモ劇場は、ミラノの中心のドゥオーモ駅やサン・バビア駅から歩いて行けるところにあるのですが、車で行った我々はさんざん迷った挙句、普通車が入れない通りに入ってしまって、後から罰金を二つも課されたという負のおまけ付き。
それでも、行って良かったなと思える劇場でした。