笑いが止まらぬ海の色 1

早朝5時過ぎに起きて行ったミラノ、マルペンサ空港のアリタリアのチェックインデスクは長蛇の列。

これじゃあ乗り遅れるとかなりイライラしたが、しばらくすると「バーリ行きの人はこちらへ」という声が飛んだ。

かなりの雑音の中での声だったので聞けなかった人も多いはず。

雑然とした中、バリアを潜り抜けて無事、チェックインを済ませた。

ちなみに、バーリ行きの前のナポリ便にチェックインしそこなった男が、係りの人を相手に「母が危篤」とかなんとか言って押し問答をしていた。

飛行機に乗り込んで無事に席に着いたが、そのときの機内アナウンスがおかしい。

「さっさと荷物は荷台に乗せてください」というのがあったと思ったら「座席番号はボーディングパスに書いてあるので、それに従って着席してください」と繰り返された。

確かに格安航空は座席指定がないので、どこにでも座れるが、この日の乗客が格安航空に乗りなれているとは思えない。

まさに年配男女の修学旅行といった風情で、機内の賑わいは尋常ではなかった。

このフライトはアリタリアとはいえ、国内便でエア・ワンという会社が運営しており、機内での飲食物は有料。

何しろ朝食を逃していたので、コーヒーとチョコでも買おうとしたところ、スチュワードの一人が「クレジットカードの使用は10ユーロを超さないとだめ」といったかと思ったら、もう一人が「いや、それはちょっと前までのルールで今はかまわないんですよ」と主張してくれて買わせてくれた。

乗客も従業員も、そこはかとなくおかしい・・・。

バーリ空港は小さいながら比較的新しく、整然としている。

ツーリスト・オフィスがあり、そこでCastel del Monte への行き方などをたずねた。

感じの良いお姉さん。

そしてレンタカー屋で手続き。

今回の車はLancia の Musaという灰色の車だった。

これは初めて。

Musa というと昔々泊まったトルコ南部のアナムールの宿のオヤジの名を思い出すが、そうではなく、ミューズという意味。

割と背の高い車だった。

Castel del Monte はユネスコの世界遺産にもなっている城だが、誰も住んだことはないそうだ。

何のために建てられたかは謎だそうだが、丘の上の目立つ位置に建っており、おそらく統治者が権威を強調するためだったというのが一番、ありそうな話だ。

8角形のどっしりした建物で、遠くから見ると、原子力発電所かと思うほど(ちなみにイタリアには原発は皆無。

このほどの国民投票でも建設は否決された)。

車を少し離れたパーキングに止め、シャトルバスで城へ近づく。

城の周りは薄赤紫の花で覆われ、その香りが強烈。

そしてドイツ系ツーリストに迎合した大道芸人が音楽を奏でていた・・もっと地元の音楽にすりゃいいのに。

ラッキーなことに、デ・キリコ展が開催中。

キリコは私の中ではトップ5に入る画家なので嬉しかった。

展示品の数は多くなかったが独特の色合いの絵に触れられて私はかなり満足。

古城というロケーションも一役かっていた。

ランチはAndriaという町のはずれの素朴なレストランで。

Tralliというドーナツ型のこの地方のパン、というかビスケットみたいな硬いヤツがおいしかった。