【2019年8月】1986年に大惨事を引き起こしたウクライナのチェルノブイリ原子力発電所。30余年たった現在も存在する立ち入り禁止区域内でこのほど、ウォッカが作られた。夏の肝試しにピッタリ(?)のこのウォッカ、現在はまだたった一本の試作品ができたところだが、将来はウォッカ販売を通じて地元の経済に貢献すると生産者らは意気込んでいる。
このウォッカ、その名も「アトミック」。作ったのは、英国のポーツマス大学のジム・スミス教授らの研究員グループで、1990年代から、爆発事故後、土地がいかに回復してきているかの調査を続けている。同グループは、立ち入り禁止区域内の農場でライムギを栽培し蒸留酒づくりを始めた。ライムギはわずかながら放射能に汚染されており、使った水は立ち入り禁止区域の帯水層のものだという。
気になるウォッカそのものの放射性だが、スミス教授は「サウスハンプトン大学の優秀な放射能分析研究所で調べてもらったが、放射能は全く検出されなかった」と太鼓判を押している。蒸留する際に不純物は廃棄物に混ざるため、蒸留された液体には残らないのだという。
同教授は「土地が汚染から回復しているのに対し、この周辺の人々の生活環境は劣悪な状況が続いている」と話す。このため、ウォッカから得られる利益を地元のコミュニティーに分配するという。立ち入り禁止区域への観光客が増えているのを受け、今年はまず、500本を生産し、こうした観光客向けに販売したい意向だ。
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