【2019年7月】カナダのケベック・シティー郊外にあるヒューロン族の村、ウェンダキ内のヒューロン族の伝統的な暮らしを再現した Onhoüa Chetek8eという施設では、次に、彼らの伝統家屋であるロングハウスに入りました。
直訳すると、長屋ですね。
長屋と違うのは、ロングハウスでは複数の家族が一軒の家に住んでいて、家族ごとの仕切りがないことです。
楡の樹皮で覆われた木造の一戸の建物は、幅が約7メートル、高さが7~8メートル、長さについては10メートルから大きいものは70メートルに達するそうです。
その空間の中央が廊下になっていて、そこに囲炉裏があります。
私達が覗いたロングハウスには囲炉裏が三つ。
ということは6つの家族が暮らしていた家だということなのだそうです。
火は絶やさず、常に火を守っていたとのこと。
この廊下の両脇に二層になった棚が並んでいて、一段目がベッド、二段目が物置です。
窓は天井に三つあるだけなので、かなり暗い空間です。
面白いことに、ヒューロン族の結婚は、女性が夫を選ぶ形で決まるのだそうです。
ロングハウス内の女の子が年ごろになると、別の一族から男性がやってきて一緒に暮らし始めます。
3週間試して、うまくいけば良し、ダメなら男性は元の家族に戻されます。
結婚問題にかかわらず、暮らしの中では、一族の賢母が絶大な権力を持っていたのだそうです。
ロングハウス内には、赤ん坊用のベッドや、トウモロコシを挽いた臼のような物などもありました。
研究によると、ヒューロン族の人々は紀元500年頃からロングハウスに住んでいて、18世紀半ばまでずっとこういった暮らしをしていたということです。
食べ物は干したり、燻製にしたりして保存していたそうで、その様子を再現した場所を見ました。
一緒に説明を聞いた人の一人が「こんなに大っぴらに干したら、動物に食べられないのか」と尋ねたら、ガイドのブライアンは「そんな動物がいたら、すでに我々が食べている。どんな動物でも食べていた」と答えていました。
Onhoüa Chetek8e内は写真を撮って良かったのですが、次に「ここだけは写真不可」という神聖な小屋に入りました。
ヒューロン族には三種類のシャーマンがいて、一人は身体の傷を治す人、一人は精神の傷を治す人、この二人で駄目な場合は、怖いお面を被ったシャーマンが呼ばれ、悪霊を引き出すエクソシストのような役割を果たしたそうです。
三人は別々の人でなければならなかったとのこと。
今はやりのドリームキャッチャーの仕組みも教えてくれました。
これはベッドの上に下げるもので、良い夢は下部の羽の部分にとどまり、悪夢はその上の網状の部分に入り込んで出られなくなります。
網の所々にある小石に朝日が当たると、そこで悪夢は消滅するのだそうです。
ドリームキャッチャーとよく混同されているものに、魔除け用の似たような形の物があり、これには網の代わりに十字が施されていて、玄関に下げて悪霊を退けたのだという話でした。
その神聖な小屋を出た後、ヒューロン族の大事な産業だったというカヌーを見せてくれました。
樺で手作りしたもので、フランス人や英国人に売っていたのだそうです。
それから彼ら独特のかんじきも見ました。
そこでツアーは終了。
カナダがチップ社会であることは何度か書きましたが、ガイドのブライアンは説明が終わるとさっさと退場してしまい、チップをあげる間もありませんでした。
その潔さ、かっこいいなと思った次第です。