薬局のない村へ

薬局のない村へ

【2023年4月】今年のイースター休暇には、北西イタリアの端っこにあるヴァッレ・ダオスタ州に小旅行しました。

本当は、トルコに行く予定で、フライトもツアーも予約を済ませてあったのですが、2月に大地震が起こったため、見送りました。

地震の再来を恐れたのではなく、地震で人々が困難な状況にある中、カメラをぶら下げたツーリストがうろつくことに後ろめたさを感じたからです。

ヴァッレ・ダオスタ州へ向かうために、ミラノの中央駅で乗った列車
キヴァッソまでは、この列車で

さらに、大統領選挙を控えた中での地震だったので、暴動など何か事件が起こるかもしれないと危惧したのでした。

というわけで、セカンドチョイスのヴァッレ・ダオスタでしたが、期待以上に楽しめました。

まずはミラノの中央駅から古い車両の列車で、トリノに近いキヴァッソへ

そこで赤い列車に乗り換えて、ヴァッレ・ダオスタ州の州都のアオスタに行きました。

赤はこの地方の色なのだと夫が言っていました。

この列車はキヴァッソで乗った時には、若者を中心に超満員でしたが、イヴレアという次の駅で、多くの人が降りて行きました。

何があるのだろうと調べてみたら、タイプライターで有名なオリベッティ社生誕の地で、近代産業の地として世界遺産にもなっているとのこと。

イタリアのヴァッレ・ダオスタ州の州都、アオスタ駅
アオスタまでは、この赤い列車

降りて行った人々が皆、ツーリストには見えなかったので、きっと今も産業都市として栄えているのでしょう。

ここを過ぎてさらに進むと、だんだん山の谷間に入っていくのが分かります。

川沿いを走る様子が、まさに日本の温泉地に行く時のようで、初めての場所なのに懐かしい気分。

そして絵に描いたような雪山が見えてきました。

こういう景色は久しぶり。

このヴァッレ・ダオスタ州はフランスのすぐ隣なので、この列車の中では、イタリア語に加えてフランス語の案内がありました。

ミラノからアオスタまで、乗り換えの待合時間も入れて、ほぼ3時間。

イタリアのヴァッレ・ダオスタ州の州都、アオスタのバスステーションから雪山を見る
アオスタのバスステーションから見えた雪山の風景

着いたアオスタからは、今度はバスで、この日の目的地、プレ・サン・ディディエへ。

ほら、この地名もフランスっぽいでしょう。

約1時間で目的地に着きました。

このプレ・サン・ディディエは、温泉で有名。

人口は700人程度だそうで、町というより村なのですが、温泉のおかげで、季節によっては保養地としてにぎわうそうです。

ところで、私はアオスタのバスステーションで、携帯を見ながら歩いていたら、転びました。

イタリアのヴァッレ・ダオスタ州にあるプレ・サン・ディディエ村から見たアルプスの一角
プレ・サン・ディディエ村からは切り立った山々が見える

両ひざを石の地面にひどくぶつけたせいで、ものすごく痛かったのですが、歩けたので、軽傷ではあったようです。

でも痛み止めが欲しかったので、プレ・サン・ディディエで予約していたホテルの人に薬局の行き方を尋ねたら、なんと、この村には薬局がないとのこと。

そんな非人道的な村ってあるのでしょうか。

村の一角にFarmaciaの看板を見つけたのですが、週3日、午前のみの営業だと看板が出ていました。

気の毒に思ったホテルの人が後に、私のために自宅から痛み止めを持ってきてくれました。