【2018年12月】スペインのカナリア諸島にあるテネリフェ島の中で、最初に町として成立したのが、私達が泊まっていたラ・ラグーナです。
正式名は、サン・クリストバル・デ・ラ・ラグーナで、15世紀に城壁なしに作られた、と後に買った案内書に書いてあります。
そもそもの島の基本知識に戻ると、テネリフェ島はカナリア諸島の中で一番、大きな島で、面積は2034平方キロメートル。
1496年に当時のスペインのカスティーリャ王国がここを征服する前は、グアンチェと呼ばれるベルベル人系の人々の島だったそうです。
スペイン人は征服に成功すると、生き残ったグアンチェの人々を奴隷として使うなど横暴な行いをしたようです。
ガイドブックによると、この征服は、世界で初めての植民地化の例とみられ、後の米国大陸の植民地化のモデルになったといわれているのだそうです。
スペイン人は、海に面したサンタ・クルスに上陸し征服した後、ちょっと内陸に入ったラ・ラグーナに町を築き、ここを首都としたとのこと。
18世紀初めに首都がサンタ・クルスに移されるまで、ここが島の中心地だったため、歴史的な建築物がたくさん残っており、1999年にはユネスコの世界遺産に指定されたそうです。
私達た着いた翌日、さっそく、町を散歩しました。
良いお天気で、暖かく、ジャケットなしで歩けます。
北欧からとみられる旅行者たちは、半そで・短パンの夏服姿です。
何しろ光が強く、色も影もくっきり。
どっちを向いても、写真を撮りたくなる風景です。
屋根から植物が生えているのが面白かったのでたくさん撮っていたら、歩いていたおじさんが何やら、「プリマヴェーラ~~」と声をかけてきました。
スペイン語は分からないのですが、おそらく「春には花が咲くよ。春に来て撮りなさい」と言っていたのでしょう。
家の配色や、建物のデザインがキューバやコロンビアなどの南米の町に似ていると思ったら、ガイドブックに「この町の設計は、米国大陸の植民都市のモデルになった」と書いてありました。
通りは殆ど、碁盤の目のように規則正しく交わっていて計画性のある作りになっています。
この日はクリスマス当日で、開いている所が少なかったのですが、その中で、市場のすぐ近くにある Convento de San Francisco y Santuario del Cristo de La Laguna という教会に入ってみました。
一部屋だけの側廊のない比較的小さい教会です。
1580年に建てられたものですが、祭壇にある黄金の像、「クリスト・デ・ラ・ラグーナ」はもっと古く、1514年頃のもので、ネット情報によると、ベルギーのアントワープで作られたのだとか。
夫は、温かみのあるこの教会が気に入ったそうで「一般に、人が教会に行く時は思い悩んでいる時。暖かく迎え入れられる雰囲気が大切」と言っていました。
街の名所の中でもう一つ覗いてみたのは、Casa Salazar。
表に出ていた案内板によると、17世紀半ばに建て始められたバロック建築の代表だとのこと。
建物が素敵な中庭を囲んでいて、軒下の木製の飾りが豪華でした。
この日は無料で覗けましたが、数日後には有料になっていて、再度、訪れた時に分かったのは、こういった歴史的建造物がふつうのオフィスとして使われているということ。
スペインのセビリアにあるスペイン広場に行った時にも、豪華な建物の中で、普通に人が働いていたのを思い出しました。
ラ・ラグーナには、このCasa Salazar のような歴史的な家屋が30軒ぐらいあり、見どころが満載です。
そうそう、旧市街の中心にある大聖堂にも入ってみましたが、ちょうどミサが始まるところで、後方で人々が歌っていました。
私達が思い描く讃美歌とはかけ離れた、ドラムを打ち鳴らす陽気な民謡のような音楽でした。
曲が終わった後、私達はすぐに大聖堂を出ました。
この大聖堂は1913年にすっかり建て替えられたものなのだそうです。