【2021年7月】イングランド南東部の海辺の町、マーゲイトの鉄道駅から出て右側を見渡すと、古びた街並みの先に無粋な白い四角い倉庫が見えます。
「もうちょっと考えればいいのに」と夫と話したことでしたが、この倉庫がターナー・コンテンポラリーという美術館でした。
私がマーゲイトに対して抱いていた印象、「低俗な大衆向けビーチタウン」を払拭するための一環として2011年にオープンした美術館で、現代美術を展示しています。
時間があったので、昼食後に行ってみました。
入場は無料ですが、コロナ対策の一環として、「事前予約要」と書いてあったので、入るのは無理かな、と思ったのですが、いつものように、夫が交渉しに行ったら、あっさりと「どうぞ」とのこと。
やっぱり、ビーチを埋め尽くす一般ピープルには無縁の美術館らしく、外の混雑と裏腹に、全く空いていました。
この日のメインの展示物は、「がっかりしたツーリスト」と題されたエレン・ハーヴィーという人の作品で、もはやなくなってしまった観光地の白黒の絵を200枚ほど集めた展示でした。
その中には、原爆投下で倒壊した広島城(再建されています)の絵も。
旅行好きの我々には、ちょっと面白い企画だな、と思ったことでした。
しかし、「なぜ、ターナーなのだろう」「イタリアやフランスに比べて英国には世界的に著名な画家が少ないから、ターナーと名付ければ人が集まると思ったのかな」とちょっと意地悪に考えたのですが、一角にとても控えめにターナーの絵が。
そこにあった説明書きによると、ターナーは11歳の時にマーゲイトに住む伯父の所に送られ、「Love Lane」という素敵な名前の通りにある学校に通っていたとのこと。
さらに、ターナーは1820年代に、主要なリゾート地だったマーゲイトに足しげく通い、今、このターナー・コンテンポラリーが建っている場所にあった宿の常連だったそうです。
この美術館の窓から海を見渡したら、アントニー・ゴームリーの作品と思われる像が海の中に建っているのが見えました。
調べてみたら、2017年にターナー・コンテンポラリーの展示物の一環として設置されたそうで、2030年11月まで、ここに置かれているそうです。
この像は私達にはお馴染みです。
以前、リバプール郊外で初めて見たほか、つい先日、エディンバラでも見ました。
ターナー・コンテンポラリーにはおしゃれな売店もありましたが、ビーチ目的の一般大衆向けではないかも。
マーゲイトの実態と、ちょっとかけ離れすぎているかなと思いました。
そこから出てすぐのところには、「The Old Kent Market」という屋内市場が。
1階はフードコートのようなところで、2階はいくつか、クラフト系の店が入ありました。
買いたい物はありませんでしたが。
ここは、その昔、映画館だったようです。
ターナー・コンテンポラリーに比べると、ずっと庶民的なところで、そこそこ人が入っていました。