アブルッツォ

人口: 約130万人

面積: 10,794平方km

行政区: 4県

イタリアのアブルッツォは、イタリア半島中部、アドリア海側に位置する州です。

西には険しいアペニン山脈、東には美しいアドリア海が広がり、様々な地形が一度に楽しめるということで、近年高い人気を集めています。

山岳地帯が州の約65％を占め、その緑あふれる豊かな自然から、ヨーロッパでは「緑の州」と呼ばれるほど。

その証拠に、アブルッツォ州には3つの国立公園と1つの州立公園があります。

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アブルッツォの観光名所

アブルッツォ州の訪れるべき場所は、その人が旅行先で何を楽しみたいかで変わってきます。

ハイキングやスキーなど自然を満喫したい方なら山岳地帯、海でゆっくりと保養したいという方なら海岸沿いの町といった具合です。

また全域にわたってローマ時代の遺跡が数多く残っていることでも知られているので、ヨーロッパの歴史に触れたい方にも最適な州といえるでしょう。

ラクイラ

アブルッツォの州都、ラクイラはグラン・サッソというアペニン山脈を代表する高峰を北側に持つ自然豊かな美しい街。

2009年の大地震で街は大きな被害を受けましたが、中世からの貴重な建造物を含め、現在は街全体に回復の兆しがみられます。

そんなラクイラのシンボルは、99もの顔の彫刻から水が噴き出す一風変わった泉。

ラクイラの街は古来から「99」という数字に縁があり、周辺に99の城と99の地区があったといわれているそうです。

キエティ

アドリア海から約15kmほど内陸に入ったところにあるキエティは、旧市街が丘の上に広がる古い町。

細い坂道が入り組んだ町並みはとても美しく、中世の雰囲気がそのまま残されています。

見どころはやはり、町の重要スポットとしても知られる、サン・ジュスティーノ広場にそびえる立派な大聖堂でしょう。

丘の上の新しい考古博物館で見られるローマ神殿の再現も、非常に興味深いので、歴史に興味のある方はぜひ足を運んでみてください。

ペスカーラ

アドリア海沿いの港町・ペスカーラは、美しい砂浜と澄んだ海を持つイタリアきっての人気リゾート地。

町が誇るその長い海岸線には、夏はたくさんの海水浴客でにぎわい、それぞれがバカンスを楽しんでいます。

また、ファシズムの先駆者とも言われる耽美的な詩人、ガブリエーレ・ダンヌンツィオもこの街の生まれで、彼の生家は今でも町に残されています。

新鮮な魚介がふんだんに使われた、この地独自のお料理はもちろん絶品です。

スルモーナ

イタリア人の結婚式に欠かせないというカラフルなアーモンド菓子『コンフェッティ』の本場として有名な町、スルモーナ。

町のいたるところにある専門店では、コンフェッティを華やかな色のセロハンで包み花の形にして販売しており、見た目がとても可愛らしいです。

町の見どころはロマネスク／ゴシック様式を基礎にして造られた大聖堂や、中世の水道橋が残る広場。

中世の趣を色濃く残した威厳のある雰囲気を醸し出しています。

前述した国立公園の一つ、マイエッラ国立公園にも近いので、アブルッツォ南部を観光する際の拠点としても便利な町といえます。

アブルッツォの気候

元より地形が山岳地帯と海岸地域に分かれているアブルッツォは、気候もその場所によって大きく異なります。

州都ラクイラをはじめとする標高の高い山岳エリアでは、季節によって最高気温と最低気温に20度以上の差のある日があるなど、寒暖の差が激しいので要注意です。

一方、海沿いの町は他のイタリアの都市全般にいえる地中海気候として知られ、冬は比較的雨が多く、夏は高温乾燥の気候と覚えておくとよいでしょう。

もちろん、年にもよりますが、その日のうちに山岳地方でスキー、海岸地方で海水浴を楽しむことも可能な特異な州です。

アブルッツォの歴史

アブルッツォ州の歴史は、当時の遺跡がまだ残っていることから、旧石器時代にまで遡るといわれています。

この地域が重要な役割を持つようになったのは紀元前2世紀頃、ローマ帝国の支配下で多くの植民地が建設されてからです。

首都ローマとアドリア海の都市へつなぐ道路もこの時期に作られたため、ローマ帝国滅亡後にはゴート人やロンバルディア人、ノルマン人たちがこぞってこの地を支配下に治めようとしました。

そして13世紀には、現在の州都ラクイラが当時の権力者シチリア王フェデリコ2世によって建設されたのです。

この頃のアブルッツォの主要産業は、ナポリ王国やアラゴン王国の影響により発展した毛織物工業といわれており、今でもその文化は受け継がれています。

ただ、交通の要所としての運命で、その後も多くの外敵に翻弄され続ける歴史をたどり、1861年のイタリア統一までアブルッツォが政治的な力を持つことはありませんでした。

現在では、観光産業や、ワイン用のブドウを含む果樹栽培が盛んな州として知られています。