人口: 約50万人

面積: 7,400平方km

行政区: 8県

イタリア南ティロルは、東アルプスのふもと、イタリア最北端に位置する州で、正式名称はトレンティーノ=アルト・アディジェ州といいます。

歴史的にティロル伯の領土だったティロル地方の一部であるため、『南ティロル』という名で一般的には呼ばれています。

イタリアに属する州でありながら、1918年まではオーストリア領だったこともあり、現在も人口の多くがドイツ系住民が占め、特に北部のボルツァーノ県ではほぼ7割の人々がドイツ語を母国語とします。

そのため、ここに住む人たちのイタリア語はドイツ語訛であるほか、中にはラディン語と呼ばれる言語を話す人々もいます。

南ティロルの観光名所

非常に複雑な歴史背景を持つ南ティロル地方ですが、その文化や風景もやはり他のイタリアの地域に比べると極めて異質です。

何世紀にも渡り、ドイツ系の文化の影響を強く受けてきた街々は、とてもイタリアとは思えない、まったく別の魅力を持ち合わせています。

ティロル地方独自の郷土料理もその魅力の一つで、チーズ、ハム、ソーセージを使った素朴な料理がとても美味しいです。

もちろんパスタなどのイタリア料理もあるので、レパートリーが非常に豊富でお得な気分になれますよ。

ボルツァーノ

南ティロルに訪れるなら、代表的なのはやはり県都の一つであるボルツァーノの街でしょう。

山に囲まれた異国情緒あふれるこの街は、大きな広場を中心に、石畳の路地や、建物の中を通り抜けられる小道が美しく整備されています。

他のイタリアの都市と比べると、ゴミも少なく、空気も澄んでいるため、多くのイタリア人が保養に訪れます。

街なかでは、毎日どこかしらに市が立ち、新鮮な農作物、手工芸品などが買えるほか、一年を通し様々な伝統的なイベントやお祭りが開かれるので、楽しさ満点です。

メラーノ

13世紀にティロル地方の都と定められた古都メラーノは、現在は緑あふれる気品のある温泉地として人気を呼んでいます。

ヴェノスタ渓谷とパッシリア渓谷が開けた盆地に位置し、山に囲まれた風景は訪れる人を驚かせます。

街のシンボルとして知られるリバティ様式の優雅な建物・クアハウスを始め、12ヘクタールにも及ぶ植物園お城遊歩道など見どころはたくさん。

身体にやさしい温泉に浸かって、のんびりとメラーノの持つ歴史、芸術、文化を楽しでみるのはいかがでしょう。

ドロミテ街道

ボルツァーノの東、オーストリア国境にほど近いドロミテは、2009年にユネスコの世界自然遺産に登録されて以来、ますます脚光を浴びています。

3000メートルを超える山が18峰あるドロミテ街道は、ハイキングの名所として名高いだけでなく、景勝ドライブルートとしても人気があり、たくさんの人々が訪れます。

ドロミテは18世紀にフランスの地質学者がここで発見したドロマイトという鉱物を多く含む地質に特徴があります。

ドロミテ街道をドライブすれば、切り立った岩山が目前に迫ってくるスリルをはじめ、移り行く様々な山の景色を心行くまで楽しめること間違いありません。

また、『ドロミテの真珠』と称されるミズリーナ湖を訪れれば、灰色の山々とエメラルドグリーンの湖面が融合した壮大な自然の景観を堪能できます。

南ティロルの気候

南ティロル地方は、非常に温和な気候に恵まれており、年間晴天日は平均300日以上ともいわれています。

ただその一方で、ボルツァーノやメラーノといった町々は、盆地なので、イタリアで最も暑いフィレンツェと比較されるほどに、夏に気温が上昇することがあります。

また、冬はマイナス10度以下の極寒となり、5月になっても最低気温が氷点下となることも。

南ティロルの歴史

現在の南ティロル地方は、元々は神聖ローマ帝国のティロル伯領の一部でしたが、1363年、伯位がハプスブルク家に渡って以降、オーストリア=ハンガリー帝国の一部となりました。

その後、ナポレオン戦争など様々な争いにより、バイエルン王国、イタリア王国などと所属国を次々変えていきます。

しかし、ナポレオン戦争終結後のウィーン会議で再び、オーストリア支配が復活しました。

1861年のイタリア統一の際に、南ティロルは『未だオーストリア領として残る未回収のイタリア』と意識されるようになり、その回復を目指す動きが19世紀末に強まっていきました。

『未回収のイタリア』をめぐりオーストリアと敵対関係に入ったイタリアは、第一次世界大戦後に南ティロルをイタリア領として取り戻すことに成功。

しかし住民の多くがドイツ系であったため、特に北部のボルツァーノ地域ではこの決定に強い不満も残りました

第二次世界大戦後には一時、オーストリアに帰属したい住民によるテロ活動が活発化しましたが、現在は、自治権が拡大されたことで一応の落ち着きを見せています。

記事

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