【2017年7月】昨年暮れにドイツのベルリンで開催されたクリスマス・マーケットにトラックが突入し、多数の死傷者を出したテロ事件は記憶に新しい。チュニジア人の容疑者は国境を超え、イタリアのミラノで射殺されたというところまでは、周知の事実だが、その後の容疑者の遺体処理を巡り、イタリアの自治体間で論争が起こっている。
容疑者が射殺されたのは、ミラノ県のコムーネ(共同体=基礎自治体)セスト・サン・ジョヴァンニの鉄道駅の前。遺体は6ヶ月取り置かれた後、引き取り手が現れなかったため、容疑者の出身地であるチュニジアに送付された。遺体の保存や空輸などの処理を実行したのは、セストの隣のミラノ市。そこで、ミラノ市はセストの自治体に、かかった費用、2160ユーロの請求書を送りつけた。セスト側は即、この支払いを拒否。論争に発展している。
イタリアでは、遺体の引き取り手がない場合、死亡した土地の自治体が費用を負担して、出身地に送られるのが普通だという。今回の場合、容疑者の家族は誰一人として、遺体を引き取ろうとしていない。イタリアの政治家、および一般市民は「人を殺しにきた人間の遺体について、それほどの金をかけて手厚く扱う必要があるのだろうか」と疑問の声を上げている。
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