12月のミラノ。
外は雪。
懸念していた通り、午後5時ごろ、ルフトハンザからテキスト・メッセージが入り、フライトのキャンセルが知らされた。
しばし慌てふためいた後、気を取り直して、電話で翌日の便に変更してもらい、マルペンサ空港にあるシェラトン・ホテルの予約も取った。
これで一安心。
ゆっくりとカドルナの近くのレストランで、ピアチェンツァの料理に舌鼓を打ち、マルペンサ・エクスプレスで空港へ向かう。
空港のチェックイン・デスクさながら・・・いや、それを超えている。
何しろ、一人ひとりのチェックインにえらい時間がかかっているのだ。
予約を取った人と、どうやらキャンセルされたイージージェットからまわされた人とがごっちゃになって並んでいるので、ホテルのスタッフに問いただしたところ、「てんやわんやで、二つの列を組織する余裕がない」との情けない返事。
だが、しばらーくした後、もう一人スタッフが増えて、予約済みの客向けの新たな列が作られた。
エレベーター前の空間がだだっぴろくて、その昔のモスクワのホテルを思い出した。
天井はそれほど高くないが。
客室はどこかと歩き回るが、それらしい廊下がない。
右往左往した後、非常口への扉と思っていた重いそっけないドアから人が出てきて、それが客室への入り口だと知る。
部屋に入ってほっとしたのもつかの間、寒くて防寒ジャケットが脱げない。
温度計を見ると、13度で、そこから上がらない。
お湯も出ない。
天井の一部に閉まらないつくりになっている扉があり、そこから冷気が下りて来る。
カーテンを閉めようとしたら、奇妙なメタルのような材質のカーテンで、引っ張ったら一部が落っこちてきた。
電話をしたり、廊下に出て人を探したりしたあげく、ようやく来た人によると「2ヶ月前に開けたばかりで、まだ何が稼動して何が稼動しないか分からない」んだそうな。
全部、把握して改善してから開けろよ・・・。
これが欲の皮がびんびんに張り詰めた米国資本のやることなんだなあ。
災難なのは私だけではないのだ。
バーでリモンチェロがようやくサーブされたときに、係りの人が来て、部屋をアップグレードし、朝食もつけるという。
3階の部屋に入ったら、確かに前より広かったし、何より暖かく、ほっとしてベッドに入った。
ドアストップが壊れていたのと、部屋に置いてあったアンケート用紙がすでに前の客によって書き込まれていたのを除けば、文句はなかった。
せっかくだからコーヒーとクロワッサンぐらいいただこうと朝食室に行って、これまたびっくり。
スタッフが誰一人おらず、すべてのテーブルが食べ散らかし状態だったのだ。
ルームメードらしき人が廊下を通ったので聞いてみたが、彼女は客室係で、何も分からないという。
ここまで来るとお笑いものだ。
結局、パンなどが並んでいるカウンターの隅に自分でスペースを作って、カプチーノとクロワッサンを立ち食いした。
まあ、イタリア式といえば、その通り。
そうしないと、何も改善しない・・」とこぼしていた。
こんな所で働くのは、さぞかし、つらいだろう。