【2023年9月】スコットランドのグラスゴー空港で、朝っぱらからアルコールを飲んでいる人々を横目で見ながら、私達はローガン・エアの搭乗口へ行きました。
ヘブリディーズ諸島の中にあるバラ島行きの便の搭乗口は空港内のはずれにあって、閑散としていました。
何せ、小さいプロペラ機なので、乗る人が少ないのは当然です。
夫の席は6C、私が7Cだったのですが、私は一番後ろでした。
数段のタラップを上って席に着いたら、パイロットの男性が私と、隣のおばさんに、非常口の開け方を説明しました。
天井が低いので、彼はずいぶんかがまないと立っていられません。
この人は副操縦士で、キャプテンは女性パイロットでした。
飛行機の大きさは、たぶん、カナダで乗ったのと同じで、お客さんの数は13人。
この日は風が強く、乗ってから長いこと待たされたので、「ひょっとしたら飛ばないのかも」と危ぶみましたが、ようやくプロペラが回り始めました。
かなりのタクシングの後、機体がふわっと浮き上がりました。
プロペラ機は高度が低いので、下界の家の1軒、車1台がはっきりと見えて、飛んでいるという実感が強く、今更ながら、人間の知恵に驚嘆した次第。
まあ、知恵のない人間も多いわけですが。
その後、高度を上げたらしく、雲の上へ。
ふわふわ、まるまるとした雲、せり上がっている雲、バブルバスのような雲ーー雲オタクには、まさに「天国」でしょう。
やがて、高度が下がり眼下にヘブリディーズ諸島の島々が見え始めました。
興奮度が上がります。
大海には波が縦横に走っていましたが、各島のビーチ付近の海の色は目が覚める美しさ。
こんな北の海も、日が照りさえすれば、南国のような明るい青緑の色を見せるのですね。
1時間15分ぐらいの飛行の末、とうとう、バラ島の広大なビーチへ。
それほどの衝撃もなく、スムーズな着陸でした。
ほどなく、私達も水気のある砂浜に降り立ちました。
本当に広いビーチで、肉眼では海の始まりが見えないほど。
その昔、日本の能登半島で、ビーチを車で走るという体験はしましたが、ビーチに着陸したのは初めてです。
私も隣のおばさんも大興奮。
ちなみに、このおばさん二人組は、私達と同様、この飛行機に乗るのが旅の目的で、そのまま午後の便でグラスゴーに帰るのだそうです。
私達は一泊したのですけれどね。
気が付けば、空港ターミナルと呼ぶにはおこがましい質素な建物の入り口付近に私達のスーツケースがひっそりおかれていました。