【2019年5月】ノルウェーのオスロにあるアーケシュフス城から出てきたら、斜め左にレジスタンス博物館というのが目に留まりました。
これもオスロ・パスで入れるので、覗いてみることに。
でも実は、そんなお気軽に入るような博物館ではなく、第二次世界大戦中にノルウェーがナチスに侵入され占領された5年間を記録した重たい博物館です。
ナチスは1940年4月に突然、ノルウェーに侵入してきたのだそうです。
入ってすぐに、大量の銃でできたオブジェのようなものがあり、目を引きました。
そして、絵画やポスター、文書、新聞の切り抜きなどで、当時、何が起こり、ノルウェーの人々がどう抵抗したかが克明に記録されています。
案内文をじっくり読むと、5年間の暗い日々がひしひしと伝わってきました。
一つ分かったのは、この時期、欧州では英国が唯一、自由の象徴だったということです。
ノルウェーの人々は、こっそり英国放送協会(BBC)の放送を聞いたり、英国軍を助けたり、英国に逃げようとしたりしていたとのこと。
論理の飛躍かもしれませんが、今、大問題になっている英国の欧州連合(EU)離脱の根底にある英国人の「我々は欧州人ではない」という心理の理由の一つがここにあるのかも、と思いました。
つまり、欧州大陸全体がナチスに侵略されていた時に自立を保った英国の人々の一部は「ナチスにも支配されなかったのに、何をいまさら、ブリュッセルに支配されなければならないのか」みたいな考え方をしているのかもしれません。
当時の欧州諸国のどこにでもあったパルチザン的な体験も、英国には欠けています。
夫に言ってみたら、あまり同意してもらえませんでしたが。
展示物の中に、ドイツ軍に捕えられたノルウェー人がキャンプの中でつけていた日記というのもありました。
紙に針で孔を開ける形で残した日記です。
結局は殺された人のものだとのことで、しんみり。
去年のジョージア旅行ではトビリシの国立博物館内で、ソ連占領時代の展示物を観ましたが、同様に重苦しい雰囲気だったのを思い出しました。
ちなみに、このレジスタンス博物館は煉瓦造りの建物の中に入っているのですが、建物自体は17世紀に建てられたものだそうです。