【2022年9月】というわけで、シチリア島南西部の内陸部の街、モディカではまず、サン・ピエトロ教会を見学しました。
正面から見て目に付くのは、かなり長い階段と、その両脇に並ぶ12の聖人の像です。
そうでした、この辺りの教会は、階段を上って入る形だったのを思い出しました。
外観も立派なら、内装も立派。
夫が「メンテが行き届いている豊かな教会だね」と感想を漏らしていましたが、その理由は後で分かりました。
この教会の起源は14世紀に遡りますが、シチリア島のこの辺り一帯は、1693年の大地震で壊滅的な打撃を受けたため、今あるのは、その後に建てられた建物です。
それで今見られる姿は、修復が完成した1876年のものだそうです。
音は聞けませんでしたが、立派なオルガンもありました。
午後1時に閉まるとのことだったので、ささっと見て、脇にある最近できたという宝物部屋へ。
ここでは、キュレーターのおじさんが熱心に訪問客に説明していました。
私達もその恩恵にあずかり、この教会が豊かな理由を知りました。
17世紀にお金だけでなく、土地も寄付した女性がいたため、その土地からの収入で今も潤っているとのこと。
その女性の家紋の鐘と、彼女のお母さんの家紋の三日月が組み合わさったマークが、そこここにあり、司祭のガウンにも刺繍されています。
この刺繍は修道女たちの手仕事なのだそうですが、皆さんもう、老人ホームに入ってしまったため、後がないという話でした。
この宝物部屋の一番のお宝は、入ってすぐ右側にあるマリア像。
一つの像なのですが、マリア様のスカートの隅に、悪魔が描かれているのをおじさんが指し示してくれました。
これは珍しい。
それからカギを持った手がガラスケースに入っていました。
昔は聖ペテロの骨がそこに入っていたと言われていますが、今はありません。
「バチカンがそんな大切なものを一般人に見せてはならないと言って承認しなかったため」(キュレーターさん)、取り除かれたとか。
そして、イエス・キリストが聖ペテロに天国へのカギを渡したと聖書にあり、このため、神ではない教会の神父でも人々の懺悔を聞くことができるようになったのだと説明してくれました。
というような話をいろいろ聞いているうちに、教会を閉める時間が過ぎてしまい、別の係の人が覗きに来ました。
このキュレーターさんのおかげで、教会訪問がとても充実したものになりました。
自分たちだけで見ても、分からないだらけだし、細かいことまで気が付きませんからね。
このおじさんさん、娘さんがロンドンのカムデンに住んでいて、ナショナル・ギャラリーで働いているのだそうです。
「このサン・ピエトロ教会のことを、もっと人々に知ってもらいたい」と話していました。