アレンテージョの白い壁 その3

翌朝、外に出てみたら、リスボンの町が息を吹き返していた。

ブランド品の店が並ぶ通りを裕福そうな人々が闊歩していて、債務に悩む苦境の町との印象ががらっと変わった。

午前中、時間があったので、ホテルに荷物を置いて、19世紀末に作られたサンタ・ジュスタのエレベーターに乗りに行った。

坂の多いこの街、エレベーターも交通手段だ。

古い木造の箱、装飾の多い外枠とも風情があった。

上からの景色も抜群。

寒かったけど。

丘の上からはぶらぶらと散歩しながら歩いて下りてきた。

ショッピングに突入したかったが、先があるので、ぐっとこらえながら。

ホテルに荷物を取りに戻ると、レセプションの人が朝と変わっていて、陽気なお兄ちゃんが対応してくれた。

これからバスでエヴォラへ行くと言うと、俄然、はりきり、自分はそのあたりの出身だからと、「Don't miss・・・」という言い方でいろいろアドバイスをくれた。

お勧めレストランについては、ネットで検索した地図にマークを入れてくれたりして。

仕事だからしているというのではなく、ごく自然に、知っていることを教えたいという熱意がにじみ出ていた。

部屋が狭かったり、トイレがにおったりするマイナス・イメージの強いホテルだったが、彼のおかげで印象が好転した。

エヴォラへは一時間半ほどで無事、到着。

今度のホテルはPousada dos Loios という、古い修道院を改築した豪華な宿。

今回の旅ではぴか一だ。

バスルームと控え室が隙間風でやや寒いのと、テレビがなぜか傾いて取り付けてあるのと、猫足のお風呂の水が床に流れ出す形になっているのを除けば(結構、難ありだな・・)、立地も含めて完璧であった。

着いたときにはまだ部屋の準備ができておらず、荷物を置いて早速、散歩。

エヴォラは白い壁に黄色い縁取りがある建物が並ぶ町。

ローマ時代からの歴史を背負ったところだとガイドブックで読んでいたので、もっと重厚な町を想像していたが、もうちょっと軽めの学生街だった。

中心のPlaca de Giraldo では、爺さんたちが、切り倒された大きな木を使って焚き火をやっていた。

ポルトガルがコルクの産地であることは前から知っていたが、どうやらこの辺が中心らしい。

コルクでできたバッグや靴などさまざまなモノが売られている。

初日はウインドーショッピングに徹したが、買うのは時間の問題と思われる。