【2017年3月】イングランド南部の歴史的な町、ウィンチェスターには、アーサー王伝説の中に登場する騎士たちの円卓があるというので、見に行きました。
円卓というからには、床に立っているテーブルなのだろうと思っていたのですが、いまは無きウィンチェスター城の一部として建てられたグレート・ホールの壁に大きな円盤が掲げてあり、それが円卓でした。
伝説によると、6世紀に生きていたとされるアーサー王とその騎士たちがこの円卓を囲み、聖杯の像を見、実物を探すことを決意するのでした。
伝説なので、誰が作った話というわけでもないのですが、15世紀後半の作家、トマス・マロリーがまとめた「アーサー王の死」という作品が最も有名なのだそうです。
マロリーは、アーサー王が住んでいるというキャメロットの町は、実はウィンチェスターだったと考えていたようです。
というのも、マロリーの時代には、すでに、この円卓がウィンチェスターに存在していたからです。
そして、その頃には、円卓は6世紀に作られた物だと信じられていたとのこと。
けれど残念なことに、現代の技術で調べたら、この円卓、作られたのは13世紀だったそうです。
一番あり得そうなシナリオとしては、13世紀後半から14世紀初めに君臨したエドワード一世が、子供たちの結婚を祝う宴会のために1290年に製作したものではないかとのこと。
当時、アーサー王伝説に則って騎士の格好をして食事をするイベントがポピュラーだったのだそうです。
円卓の直径は5.5メートル、重さは1200キロで、121の部分から成っていると、ここで買ったパンフレットに書いてありました。
当初はテーブルとしてグレート・ホールの床に立っていましたが、1348年に屋根が建て替えられた時に壁に掛けられたと考えられているそうです。
このグレート・ホールはウィンチェスター城の中で唯一残っている部分です。
城は1066年のノルマン・コンクエストのすぐ後から建て始められ、約600年に渡って重要な要塞として機能していましたが、イングランド内戦中の1645年に、議会派のクロムウェル軍に包囲されて陥落。
徐々に取り壊されたのだそうです。