カンタベリーの町なか雑学

カンタベリーの町なか雑学

【2019年3月】イングランド南部のカンタベリーでのウォーキングツアーの後半は、大聖堂の敷地から出て、パレス・ストリートを歩きました。

この通りの名物は、今にも崩れそうな傾いた建物。

どうやってバランスを取っているのか、今もちゃんと本屋として機能していて、人が出入りしていました。

17世紀に建てられた家だそうで、ドアの上部に金色の文字で「道の上に出っ張って、眼下の歩道を誰が通っているか見ようとしている」という1849年のチャールズ・ディケンズの言葉が彫られています。

ガイドのスージーによると、カンタベリーの古い家はディケンズの小説『デイヴィッド・コッパーフィールド』によく登場するそうで、「この家もその一つだったかもしれない」という話でした。

この家が登場したかどうかは定かでないようでしたが、確かに登場していたのは、さらに歩いた先から見えた「リトル・イン」という建物。

1503年に建てられたもので、今はサン・ホテルというホテルになっています。

カンタベリーの古い家には「歴史的な家」と書かれた赤い板が付いているのですが、その一つに太陽のマークが

これはその昔、保険のマークだったそうで、保険がかけられた家を意味しているのだそうです。

それから、織物職人の家。

階下は普通の窓がありますが、最上階は窓が横にずらっと並んでいます。

職人は階下で暮らし、明るい最上階で仕事をしたのだそうです。

歴史的な家の中には、ブーツの靴底の泥を払うための穴がある家、というのもありました。

ストゥア川に架かる橋の上からは、観光客向けボートが見えました

そして、奇妙な木製の椅子のようなモノが川べりの家から出ています。

何と、これは魔女審判の椅子。

ここに魔女と疑われる女性を座らせ川に沈め、女性が死ねば、魔女ではなかったとなり、生き残れば魔女だと判断されたそうです。

どっちに転んでも浮かばれないヒドイ話です。

この近所に、イーストブリッジ・ホスピタルという古い建物があります。

ここは、12世紀には、巡礼に来た人々が病になった時に休めるホステルだったそうで、この日はあいにく閉まっていましたが、一見の価値があるそうです。

スージーによると、ここにある鐘は重要なことが起きた時にだけ鳴らすのだそうで、「エリザベス女王の在位65周年の時に鳴るかなと思いましたが鳴らず、誘拐されたテリー・ウェイトがレバノンから釈放された時に鳴りました」と言っていました。

ツアーの最後は、2016年にできた『カンタベリー物語』のチョーサー像。

巡礼服を着た像です。

面白いのは、その土台に刻まれた人々。

皆、実在のカンタベリー市民で、裏に名前も記されています。

約90分間のツアー、まだまだたくさん情報がありましたが、思い出すのはこのくらいでしょうか。

こういったウォーキングツアーにはいつも、充実感があります。