【2019年11月】スペインのサラゴサの写真というと必ずと言ってよいほどに、川沿いに大きな教会が建っている様子が出てきます。
川の名前はエブロ川、教会はヌエストラ・セニョーラ・デル・ピラール聖堂です。
この日の午後はまず、その風景を見に川へ出てみました。
エブロ川はイベリア半島で二番目に長い川だそうです。
冷たい強風が吹く中、高い柱の上にライオンが立つピエドラ橋を半分ぐらい渡り、教会を入れて記念撮影。
橋には骨太の街灯がたくさん建ち並び、重厚なイメージだったのでファシスト建築なのかと思ったのですが、調べたら、このデザインになったのは1991年のことだとのこと。
橋自体は紀元1世紀からここに存在していたと言われているそうです。
何しろ強風なので、長居はできず、今度は教会そのものを目指しました。
ヌエストラ・セニョーラ・デル・ピラール聖堂は、紀元40年1月2日に、12使徒の一人であるヤコブがこの地で聖母マリアから聖堂を建てるよう命じられたので作られた教会なのだそうです。
その際に、聖母がヤコブに自分の像と小さい柱を渡したと言われているとか。
我々のガイドブックには、聖母が柱の上に現れたと書いてあります。
いずれにしても、柱が要で、それでピラール(柱)の名が付いているようです。
とにかく巨大な教会で、薄暗い空間の中にはいくつものチャペルがあり、ちょっと散漫な感じがしました。
ガイドブックには、「伝説の柱の一部が見られる所があり、そこに信者が長蛇の列を作って順番にキスをしている」とあるのですが、11月のこの日、教会内にあまり人がおらず、列も見られなかったので、どこがソレなのかわかりません。
うろうろした挙句、夫が「ここで柱を敬いキスをするように」と書かれた部分を見つけたので、多分、そこなのではないかと思いますが。
現在あるこの教会は、1681年に建てられたオリジナルを18世紀に修正したものだそうで、塔が完成したのは20世紀になってからのことだそうです。
美術的に価値があるのは、16世紀に作られたアラバスターでできた祭壇の装飾と、ゴヤによる「殉教者の女王」というドームに描かれた絵だとのこと。
教会内は写真が禁じられていて、こっそりとしか撮れませんでした。
入口付近のチャペルで、太った娘の脚に手をかけ、祈る母親の姿がみられました。
その娘は木製のキリスト像の脚に手をかけていました。
同じチャペル内にある銀の彫刻にキスしている男性も。
信仰というのは不思議なものです。
そうそう、この教会のろうそくは全部、電気仕掛けで、趣がありませんでした。
教会からホテルへ戻る途中、歴史がありそうなカフェがあったので入ってみました。
宮殿風の豪華な内装で良い雰囲気です。
グラン・カフェという名前で、建物は1865年に建てられたものだとのこと。
元は宝飾店だったそうです。