ソ連時代のモスクワ 2

ソ連時代のモスクワ 2

モスクワでの滞在が始まると、まず、日程表が手渡されました。

それには、何でも好きなことをして良いという自由時間も含まれていました。

とはいえ、地図上に記されたある一定のエリアの中でだけ、動きまわってよいということでした。

そのエリアから外に出ないよう、強く言い渡されました。

「自由」とは名ばかりで、実際のところ、我々の一挙一動は事細かに見張られていたのだと思います。

私たちはもちろん、規則を守りました。

その当時、規則を破っても良いことなんかありませんでした。

何しろ、冷戦の真っ只中です。

イタリアは当時、西側諸国の中では共産主義に一番、近い国ではありましたが、彼らからしてみると、私たちは、政治的に世界の反対側から来た客だったのですから。

町の中では、公共のタクシーや古いバスが走っているほかは、マイカーなど見かけませんでした。

その代わり、かの有名な地下鉄がありました。

駅は見事な装飾が満載で、それは美しく、時には金が使われていました。

これには本当に感心しました。

そして、私の国では、こんな豪華な装飾は盗まれたり壊されたりして、数日ともたないなと思ったことでした。