【2021年9月】今回のイタリアのフィレンツェで最初の素晴らしい食事をした後、満腹で眠気に襲われながらも、予約してあったドゥオーモの洗礼堂見学に急ぎました。
フィレンツェのドゥオーモは何度も見ていますが、ドゥオーモ広場に出ると、やっぱり「ほぅーっ」と声が上がります。
外観の美しさに加え、その大きさに目を見張るものがあります。
ドゥオーモのドームの上と鐘楼の上には、昔々、若くて元気があったころに苦労して上ったことがありますが、洗礼堂には入ったことがなかったので、今回はこれを観光の目玉としました。
予約時間の3時15分にちょっと遅れて洗礼堂の入り口にたどり着いたのですが、係の人が、「博物館の方が先に閉まるので、そちらからどうぞ」。
このチケットは洗礼堂とドゥオーモ付属博物館が組になっていたのです。
博物館はドゥオーモの裏側で、行ったらすぐわかりました。
この博物館は1891年からの歴史があるそうですが、割と最近、改装され、モダンな雰囲気です。
入った所のスタイリッシュな廊下の片面には、ドゥオーモやジョットの鐘楼、洗礼堂の建設に関わった人々の名前が刻まれていました。
1階の大きな部屋には彫刻が集められていて、洗礼堂の有名な「天国の門」のオリジナルもここに。
今、洗礼堂にある門はレプリカなのです。
なぜ「天国の門」かというと、あんまり素晴らしいので、ミケランジェロがそう呼んだからだとか。
金色ですが、金でできているわけではなく、金メッキで、素材は銅だそうです。
私達のガイドブックによると、洗礼堂の門については15世紀にコンペがあり、ドゥオーモのキューポラを築いたブルネレスキと、若かったギベルティが共同で受注したのですが、青二才と一緒にされたブルネレスキが怒ってローマに行ってしまったため、ギベルティが一人で長年かけて門を作ったのだそうです。
このコンペの時の2人の試案がとても創造的で、これがルネサンスの始まりだとさえ言われているという話です。
博物館の1階にはほかに、ミケランジェロが自分の墓石のために作ったものの、気に入らずに自分で壊したと言われる彫刻「ピエタ」もあります。
2階に上がると、ジョットの鐘楼にあった彫刻類、ブルネレスキによるキューポラがいかに作られたかの展示、聖歌隊席の展示などがあります。
さらに上ると屋上テラスがあって、実際にドゥオーモのキューポラがよく見えるのだそうですが、私達は、そこまで行きませんでした。
意図的にではなく、どういうわけか、そこに行きつかなかったのです。
実際のところ、こういった博物館は、ガイド付きで見た方が実りがあると思います。
私達は、満腹の眠気を引きずったまま、ぼんやりと有名どころだけ眺めたので、いっぱい大切なモノを見落としているにちがいありません。
さて、それから主目的の洗礼堂へ。
洗礼堂は12世紀からの歴史があり、おそらく、古代ローマ時代の寺院の跡地に建てられたのだろうと考えられているそうです。
入ると目に飛び込んでくるのは、天井のきらびやかなモザイク画です。
ラヴェンナを思い出しました。
モザイク画は13世紀末の作品だそうで、複数の作家によって作り上げられたものらしいです。
この洗礼堂では、フィレンツェ出身の有名人の多くが洗礼を受けたのだそうで、その中にはダンテも含まれるそうです。
これはやっぱり見る甲斐があったかな。
ちなみに、博物館も洗礼堂も、「グリーン・パス(新型コロナのワクチン証明)」を見せる必要がありました。
これがないと、イタリア国中、入れる所がぐんと限られます。
変な意地を張らずにワクチン接種をして、ワクチン証明を得ることをお勧めします。