【2024年3月】イングランド南西部のトーキーに滞在中、友人夫妻がダートマスに遠足に連れ出してくれました。
まず、案内してくれたのは、Coleton Fishacre というお屋敷。
ロンドンにあるサボイホテルやオペラ・カンパニーの持ち主だったRupert D’Oyly Carte という人のカントリー・ハウスで、1926年に完成した家です。
英国のお金持ちは、都会(主にロンドン)と田舎に家を持っているのが普通で、どちらが本宅、どちらが別宅という感覚はないようです。
Rupert とその奥さんが別れた後は、娘がここを管理していましたが、その後、売却。
別のホテル経営者の手に渡った後、1982年からは英国のチャリティー団体、ナショナル・トラストが運営しています。
入場料は一人£15でした。
最後の持ち主ではなく、オリジナルのD’Oyly Carte 家が住んでいた当時の様子を再現して見せているところが、ナショナル・トラストのセンスの良いところ。
本当に今そこに、当時の人が現れそうなビビッドな雰囲気を演出しています。
1920年代の家具や小道具が並んでいるだけでなく、例えば、ベッドは、たった今誰かが起き上がったかのように枕がへこんでいたりするのです。
芸が細かいので感心した次第。
一部屋一部屋が、まさに、エルキュール・ポワロの世界です。
この名探偵ポワロを生み出した作家、アガサ・クリスティーはトーキーの生まれで、物語の舞台にトーキーのあるデボン州や隣のコーンウォール州がよく登場しています。
この辺りは彼女をテーマにした名所がいろいろあるらしいです。
ポワロ物には小学生のころに熱中していましたし、テレビ・ドラマのポワロは今も私達のお気に入りでよく見ているので、このColeton Fishacre のアールデコの調度品にも馴染みを感じました。
といっても、ここが物語の舞台になったり、ドラマや映画のロケ地になったことはないそうですけれど。
この屋敷の庭も見どころです。
広々とした庭には高低差があり、小川が流れていたり、海を見渡す見晴らしスポットがあったり。
ただ、この日はどんよりした曇り空だったので海が灰色で、今一つ、景色はぱっとしませんでした。
ところで、案内してくれた友人が「Agatha Christie’s Devon」という本を記念にくれました。
彼女のお父さんが、クリスティーについて詳しいのだそうです。
いつか、クリスティーをテーマに旅してみるのも面白そうです。