この悪天候で一時間遅れは御の字だと思って、ほっとくつろいでいたときだった。
機内アナウンスでヒースロー空港が閉鎖されたので、イースト・ミッドランド空港に降りると案内された。
イースト・ミッドランドだなんて聞いたこともないけれど、ノーリッジ辺りかな、たいしたことないな、と高をくくって、緊急事態だという認識を持たなかったのが大間違い。
イースト・ミッドランドとは、マンチェスターとバーミンガムの間、ノッティンガムに近い小さい空港だった。
降りたはいいが、「情報待ちなので、そのまま待て」とのこと。
どのくらい待ったのやら、今となっては分からないが、その後、「やはりここで降りてもらうことにした。
ターミナルに入ってから、バスか電車のどちらかを選んでヒースローまで行ってほしい。
ただ、我々がここに降りた最後の便なので、タラップの順番がまわってくるまで待って欲しい」とアナウンスがあった。
ここでおかしかったのはイタリア人の中年男性。
ドアのある前方に「わしゃ、明日の朝の便で帰るんだ。
少しでもロンドンを見ないことには・・」と言いながら、飛行機から飛び降りんばかりの勢いで、突進していったのだ。
もちろん、そのまま、前方の席に「まあまあ・・」と座らされていたようだが。
入国審査に長い列。
特にEUパスポートでない人へのチェックがことさら厳しい。
こんな小さい空港、あまり外国人客に慣れていないのだろう。
やっと構内に入ったら、ここもまた混沌。
何もオーガナイズされておらず、誰に聞いていいかも不明。
制服を着ている人に片っ端から聞いた結果わかったのは、航空会社が手配するのはバスだけで、電車に乗る人は費用も手配も自分もち。
しかも電車賃は£50ほどもし、一台だけある鉄道駅へのシャトルバスは一回10人も運べない。
タクシーを使うと£12ほどだという。
バスが来るのは何時だか分からない・・・。
かなり右往左往させられたあげく、ようやくバスに乗り込んだのは午後4時10分ごろだった。
雪道の渋滞は今までの長い人生でも見たことがないほど(それで忘年会に出られない旨連絡しようとメールを開けたら、忘年会自体、雪で中止になっていたことが分かった--ハイテクの効用はいろんなところで発揮される)。
イライラすることには、バスの運ちゃんが「数時間、走るごとにわしらは、45分の休みをとらにゃならんのだ。
法律で決まっとる」と言い、サービスエリアに向かったのはいいが、そこへ行き着くだけのために約1時間もかかった。