【2022年9月】シチリア島のモディカの駅から、10分遅れで来た一両編成の列車に乗り込みました。
私達の行先はラグーサです。
30分程度の道のりですが、暮れていく道を、とぼとぼと歩く老人のような列車で、その昔、カラブリア州のロッチェッラ・イオーニカで乗った列車を思い出しました。
ラグーサに着いた時には真っ暗。
ホテルの人がアレンジしておいてくれたタクシーに乗り込みました。
そして、Intervallo Boutique Hotel へ。
ラグーサ・スペリオーレ(新市街)の丘の中腹にあって、ロケーションばっちりの小ぎれいな宿です。
部屋より先に、ここの売りであるテラスに通されました。
ラグーサ・イブラ(旧市街)の夜景が目の前に広がっていて、思わず声が出てしまいました。
この景色も、もう一度見たかった景色なのでした。
前回、この地方を訪れた時には、内陸の丘にあるラグーサから25キロほど下った海岸地区マリーナ・ディ・ラグーサに泊まったので、この夜景を堪能できなかったのです。
振り返るとラグーサ・スペリオーレの古い部分の家々が重なっている風景が見えます。
すぐ隣には、ちょっとした古めかしいお屋敷のバルコニーが面白い影を映しています。
このホテルはジュージーという女性が一人で切り盛りしていました。
はきはきとよくしゃべる人で、ニッポン大好き。
「前世は日本人だったと思うのよ」という彼女、ラグーサ・イブラで、日本人の先生にピアノを習っていると言っていました。
へえ、こんなところに住み着いている日本人がいるのだ、と私はそちらの方にびっくりしてしまったのでしたが。
ラグーサ・スペリオーレはイブラに比べると新しいわけですが、1693年の大地震以降に建てられた町ということで、新しいと言っても18世紀の家々。
ホテルもその一つで、坂に沿って建っている古い家屋を上手に改装したものでした。
部屋は小さいのですが、よく考えられていて、必需品は揃っています。
一度、部屋に荷物を置いた後、再度、テラスに上って、キッチンの冷蔵庫にそろえてある自己申告制のビールやジュースを飲みながら、幸せなひと時を過ごしたことでした。