【2021年10月】北イタリアのピエモンテ州にあるヴェルチェッリという町に行きました。
何でも、ここは欧州の米どころなのだそうです。
確かに、町を歩いていたら、お米屋さんがありました。
日本のお米屋さんとはだいぶ違うイメージでしたが。
米作り農家は昔から、モンディーナと呼ばれる女性労働者を雇って米を収穫していたそうですが、過酷な労働条件だったため、ストライキも盛んだったとか。
労使のぶつかり合いが続いた末、1日8時間労働制が1906~09年にイタリアで初めて、このヴェルチェッリで制定されたのだそうです。
行ってみたヴェルチェッリは、そんな労働運動が盛んそうな町には全く見えず、教会や修道院などの宗教施設が多い敬虔で豊かな町のようでした。
その中で、まず訪れたのはサンタンドレア聖堂。
13世紀初めからの歴史のある教会なのですが、正面は、まるでコンクリートのような灰色の石でできていて、非常に変です。
趣味の悪い人が修復でもしたのかしら、と思ったのですが、調べたら、この灰色の石は地元ピエモンテ州の石で、わざわざ選んだものらしいです。
可愛らしい中央の扉の上の彫刻に目が留まりました。
中に入ると、赤と白の組み合わせが美しく、ファサードと打って変わって、暖かいイメージ。
とはいえ、フレスコ画やモザイク画、彫像に満ちた南イタリアやトスカーナ地方などの教会とは異なり、質素です。
床が崩れたままで、メンテナンスがイマイチだと思ったのですが、ネット情報によると、「ほぼ原形を保っている」とのことですから、これもその一環なのかもしれません。
16世紀に補強のために柱を増やしたという回廊も素敵でした。
ヴェルチェッリのもう一つの見どころは、カヴール広場。
歴史的なカラフルな建物に囲まれた広々とした広場で、写真の撮り甲斐がありました。
背景に見える塔は、トッレ・デランジェロという名前で、1月6日には毎年、この塔の上からベファーナという魔法使いのお婆さんがロープを伝って、滑り降りて来るのだそうです。
この町には、大聖堂もお城もあります。
大聖堂には、修道女の団体が訪れていました。
鐘楼がどっしりと大きい大聖堂で、鐘楼の部分だけが古そうでした。
あと、普段は開いていない正面の扉が開いていたので、何か特別の日だったのかもしれません。
お城の方は13世紀末の建物だそうですが、今は裁判所として使われているため、中は見学できない様子でした。
13世紀の建物の中で日々、働くというのも乙なものでしょうね。