【2023年7月】その晩は、今回のフランス旅行の目的の一つ、オペラ座(ガルニエ宮)でのバレエ鑑賞でした。
これまでと異なるのは、私達だけでなく、フォンテーヌブローの友達夫婦と、パリ在住の友達も集合したことです。
パリの友達は、自転車通勤している仕事帰りとのことで、黒装束にヘルメットを抱えていました。
7月の暑い日でしたが、短ブーツを履いていて、それがもう、カッコいいったらありゃしません。
さすがパリっ子といった感じでした。
友達が集合したとはいえ、席はばらばら。
私達は、1階のオーケストラ席の補助席です。
補助席に座るのは、数年前のオペラ・バスティーユに次いで、これで二度目です。
ガルニエ宮では、補助席の人は、最後の最後に入場することが分かりました。
というのも、補助席を開くと、オーケストラ席の平土間に通路がなくなるのです。
なので補助席の人は、開演間近になって前の方から順番に呼ばれて観客席に入ります。
私達は14,15番で、最後から2番目でした。
座ってみると、本当にぎゅうぎゅう詰めという感じ。
他の正規の席の人も含め、途中でトイレにでも行きたくなったら、大変なことになるでしょう。
今宵の演目は「マノン」。
ここで何よりガッカリしたのは、主役2人のキャスト変更があったことです。
オペラ座バレエのキャストは、かなり公演日に迫らないと発表されないのですが、発表された通りに公演されるものではないとよくわかりました。
怪我があったのかもしれませんが。
ひいきのダンサーが見られなかったこともさることながら、マノン役にはおよそ不向きなエトワールのダンサーに代わっていて、かなり失望しました。
彼女も技術的には上手なんですけどね。
マノン役にぴったりはまるダンサーは限られると思います。
可愛らしすぎてもいけないし、高貴な雰囲気でもいけません。
マノン役は、フェロモンがぷんぷん匂うようなダンサーでないとね。
それに、急な変更だったのか、リハーサル不足のようで、彼女が男たちにリフトされながら踊る見せ場の一つでは、動きがぎこちなくて、余裕が全く感じられませんでした。
それはともかく、中休みごとに友達たちと会って、おしゃべりしたり、劇場見学をしたりしたのは楽しかったです。
友達の一人は「こんな素晴らしい所が、かつては限られた人にしか開放されていなかったのだから、革命が起こるのも良くわかる」と感想を漏らしていました。
何度訪れても、この絢爛豪華さには言葉を失います。
こんな素敵な環境で、内容にやや不満が残ったとはいえ、全幕もののバレエが見られたのは、本当にラッキーだったと思いました。