【2022年8月】シチリア島はイタリアの中でも独特の文化を持っているところで、その一つに人形劇があります。
シラクサに「暮らし」始めて、3日目にその人形劇を見に行きました。
事前にネットで予約。
チケットは一人€10(1500円弱)と良心的です。
午後6時からの公演に間に合うように、小さなシアターに入ってみると、他の観客は皆さん、子供連れ。
ちゃんと席が決まっていて、一定の場所に案内されました。
子供たちはステージに近い前方の席に集められています。
親と離れ離れになった子供が半べそかきながら、親元に戻ってくる姿も。
始まる前の挨拶の際、きれいな女の人(シラクサではハッキリした顔立ちの美人さんが時々見られます。3日目にして、この人が3人目)が英語であらすじを話してくれたのですが、イマイチよく分かりませんでした。
私達が見た演目は「La Disfatta di Gradasso (グラダッソの敗北)」という題名です。
グラダッソというのは、15世紀のイタリアの詩人、マッテオ・マリア・ボイアルドが描いた強大なサラセン王のこと。
フランスとかスペインが絡む中、一騎討の場面とか、奇妙な妖精が現れる場面とかがありました。
裏切りや血なまぐささが満載の中世の騎士物語だったのです。
かぶりつきで見ていた子供たちに、分かったのかなあ。
もうちょっと易しく優しい物語を選べばいいのに、と思ったのでしたが、こういう騎士の戦いの話を上演するのが伝統なのだとか。
19世紀初めに始まったこの人形劇は、Opera dei Pupi という名前で、身長80センチ前後の、精巧にできたぎょろっとした目の人形が主役。
そもそもは大衆向けの芸能なのだそうです。
2008年にユネスコの無形文化遺産に指定されました。
夫がネットで読んだところによると、シラクサのこの劇団は、廃れていく文化を救おうと、若い人たちが集まって始めたのだとのこと。
このシアターの近所に、Pupi(人形)の専門店があったほか、博物館もあったようです。
ところで、この日はここに来る前、夫が市場から買ってきた美味しいメカジキのランチの後、新市街の方にある遺跡に行ったのでしたが、あまりに暑くて、行き着くだけで精一杯。
めまいがしたので、見ずに帰ってきました。
シラクサの気温自体は30度前後と、それほど高くないのですが、思ったよりずっと湿気があって戸外を長く歩くのは無理がありました。
人々が夜になってから街に繰り出すのは、このためなのだと心底、よく分かりました。