【2021年6月】スコットランドのファイフ地方にある小さい町、カルロスの見どころは、宮殿と修道院跡です。
コロナ対策の人数制限のため、宮殿の入場券が買えなかったので、とりあえず、修道院跡の方へ向かいました。
ここは無料で、勝手に入ることができます。
フランスに端を発するシトー会の修道院で、1217年に創設されたとガイドブックに書いてあります。
梯子に近い急な階段を上って、古い天井を見ていた時に、夫の携帯に電話が。
宮殿のチケットオフィスからで、「1時の入場にキャンセルが出たのでどうぞ」とのこと。
万が一、キャンセルが出た場合に連絡してくれ、と夫が電話番号を残しておいたのです。
言ってみるものですね。
時間が押し迫っていたので、慌てて階段を下り、宮殿へ向かいました。
なので、修道院跡の見学は中途半端に終わってしまいました。
カルロス宮殿の入場料は£10.50(60歳以上に割引有)。
敷地に入ると、係の人が出てきて、まずはビデオを見るよう言われました。
このビデオで町の成り立ち、歴史がよく分かりました。
意外なことに、この可愛らしい町は、炭鉱で栄えたとのこと。
まず、修道院を建てた修道士たちが12世紀に炭鉱を発見しますが、事業として成功させたのは、16世紀後半、ジョージ・ブルースという人です。
ブルースさんにとって、探鉱事業は主目的だったわけでなく、ここの石炭を利用して塩を生産するのが主眼でした。
というのも、塩は当時、食物の保存に欠かせない高価なコモディティーだったからです。
そのうち、炭鉱そのものもお金になることが分かり、どんどん裕福になり、ブルースさんはこの宮殿に住みます。
その他、この町には、皮なめし業や鍛冶屋も集まり、運搬に便利なフォース湾に面した立地も幸いして、町が栄えたそうです。
けれど、幸運は長続きせず、1625年の大嵐で炭鉱が破壊され、後は衰退の一途をたどったという話でした。
ガイドブックにもありましたが、この宮殿には、きらびやかさはなく、大き目の木造の家屋といった体裁です。
絵が描かれている最上階の天井がハイライト。
絵がよく見えるよう、鏡が置いてありました。
黄色い外観も素敵ですが、中も味わい深く、当時の人の暮らしぶりがうかがえ、とても良い体験となりました。
庭もきれいでしたし。
宮殿を楽しんだ後は、フォース湾岸へ向かいました。
水辺に沿って線路があったので、列車も走っているということですが、ここへは列車では来られないということは、きっと近所に駅がないのでしょうね。
木造の桟橋がありました。
かなり不安定で危なっかしく、渡るのにスリル有り。
石造りの桟橋をつくるための資金を募っていました。
木造だから趣があるという面も否めませんが。
どんよりした空の下に広がる荒涼とした情景も、また一興でした。