
【2026年6月】イングランドのノーサンバーランド州にある古い街、アニックにはお城のほかにも見どころがあります。
それは、「バーター・ブックス」という古本店です。

何が特別かというと、ここはその昔、鉄道駅だったところなのです。
現在、アニックに鉄道は通っていませんが、19世紀後半には、町から6キロ東に行ったところのアルンマス駅とアニックを結ぶ支線が開通したそうです。
アルンマス駅は今もまだ健在ですが、アニックへの鉄道は1960年代の赤字線廃止政策に引っ掛かって閉鎖されたとのこと。
でも、重要文化財に指定されていた駅舎はそのまま残り、しばらくは作業場や倉庫として利用されていました。
その一角で小さな製造業を営んでいた夫婦が、古本店の開業を思いついたそうです。

オープンした1991年当初は、駅舎の一部だけだったのが、だんだん繁盛して、駅舎全体をカバーする大きな店に発展。
今では数十万冊が売られていて、欧州最大級の独立系古本店に成長したそうです。
なぜそれほど人気を呼んだかというと、まず、店名の通り、持ち寄った本と売られている本をバーター(交換)できるシステムがあること。
査定カウンターがあって、自分の本を査定してもらい、金額に応じてバウチャーをもらいます。
それを使って、売っている本を買えるというシステムです。
有名になったもう一つの理由は、世界的にブームになった「Keep Calm and Carry On(平静を保って普段の生活を続けましょう)」という標語が書かれたポスターが、この店の書籍の箱から再発見されたことです。

このポスターは英国政府が第二次世界大戦の前に、開戦した場合の混乱を避ける目的で作ったものだそうです。
2000年の再発見の時の時世にも合っていたのか、一気に世界に広まりました。
ありとあらゆるパロディも出回りましたよね。
私たちは、この店を訪れたときには、そんなバックグラウンドは知らず、ただただ大きな店であることや、一般に本を読む人は減っているのに、お客さんの数が多いことに驚きました。
私たちのような物見遊山のツーリストは少なく、皆さん真剣に本を探していました。
ガラスケースには、ファーストエディションなどの貴重な本が入っているようでした。

駅だった当初の雰囲気も上手に残してあります。
本棚の上に模型の電車を走らせているのも一興。
カフェも併設されていました。
私たちはここを出た後、アニック城がよく見えるというライオン橋へ。
写真を撮ったりしているうちに、あっという間にツアーの集合時間になってしまいました。
お城に入らずにアニックで3時間を過ごすのは、時間を持て余すかな、と懸念していましたが、そんなことは全くありませんでした。