【2025年4月】友達夫婦と北イタリアのクレモナを歩いたのは、月曜日でした。
月曜というのは、世界的に休館となる博物館が多い日です。
クレモナ観光の目玉であるバイオリン博物館も閉まっていました。
モノづくりに興味のある友達はがっかり。
観光案内所の前にストラディバリの家の見学ツアーの案内が出ていたので、入って聞いてみました。
でも、係員がその家に電話してくれたのですが、誰も応答しません。
ただ、係員が言うには、バイオリン工房の見学は可能かもしれないとのこと。
1時間€110と安くありませんが、友達が大乗り気だったので、案内所の人にアレンジしてもらいました。
私たちが見学した工房の主は、Robert Gasser さんという67歳のスイス人。
若いころ、バイオリン作りを習いにクレモナに来て、そのまま居ついてしまったのだそうです。
ストラディバリ型のバイオリン作りを継承しているとのこと。
作り方をかなり詳細に教えてくれました。
こうした観光客の案内に慣れている様子です。
1度に1つのバイオリン(時にはビオラ、たまにチェロ)を作るそうで、今作っているのは、ビオラ。
ビオラにはポプラの木、バイオリンにはメイプルとスプルースを使うとのこと。
道具も見せてくれて、極小のカンナなど興味深かったです。
土台作りだけで1カ月、完成には3カ月かかるそうです。
そして気になるお値段は、€20000(330万円ほど)。
「バイオリン作りは彫刻だ」と繰り返していました。
彼によると、クレモナには180人のプロの職人がいて、200人ほどの見習いがいるのだとか。
こういった職人芸は往々にして、尻つぼみとなる世の中ですが、クレモナのバイオリン作りに関しては、その心配はないようでした。
彼はこの工房の上の階に住んでいて、仕事場に下りてくるときは楽しくて口笛を吹いていると言っていました。
多少、演技が混じっていたかもしれませんけれど、ハッピーそうな人であるのは確かです。
私たちも友達も、バイオリンは弾かないのですか、話はとても興味深く、充実したひと時でした。
趣味でバイオリンを弾いていた私の父がいたら、もっともっと中身の濃い質問ができただろうな、と思ったことでした。