【2022年11月】スペインのバルセロナでの二日目は、ガウディから離れて、古い町並みを歩くことにしていました。
サンタ・マリア・デル・マル教会を目指して歩いていたのですが、午前中は閉まっているという大聖堂にさしかかった辺りで音楽が聞こえてきました。
大道芸でもやっているのかな、と近づいてみたら、大道芸にしちゃ、大きな規模です。
これが話には聞いていたサルダーナ・ダンスの輪だったのです。
サルダーナ・ダンスはバルセロナを首都とするカタルーニャ地方の代表的な踊りで、カタルーニャの人々の団結、アイデンティティー、精神を表すパワフルな象徴なのだそうです。
カタルーニャが、スペインからの独立を求めた運動を続けていることは、よく知られています。
数年前に独立宣言に踏み切った末、幹部がスペイン当局に逮捕されるという騒ぎがあったのは記憶に新しいところです。
ネット情報によると、1940年代から約30年続いたフランコ独裁政権下では、カタルーニャ語とともに、このサルダーナ・ダンスも禁止されたとか。
というわけで、いかにもお祭りのような管楽器による明るく軽い音楽に合わせたこの踊りも、政治的な意味が込められるというわけです。
大きな輪が五つ六つあったでしょうか。
皆、手をつないで規則正しいステップを踏んでいました。
年配の人が多く、音楽の軽さの割には、笑顔が少なかったのが印象的。
真剣にカタルーニャ独立を願って踊っていたのか、あるいは、独立が達成できない事に対するいら立ちが表れていたのでしょうか。
まあ、単に踊り疲れかもしれませんが。
お年を召した方々でしたからね。
大聖堂前でのこのイベントは、日曜日の午前中に繰り広げられるもので、たまたま行き当たった私達は本当にラッキーでした。
ところで、サルダーナ・ダンスを説明したサイトには、「ステップは正確に踏まないと、輪の和を崩すことになるので、ツーリストの皆さんは、ダンスに加わらず、見るだけにとどめるように」とアドバイスされています。
こうしたところにも、楽しみのためのダンスではない事が表れていますね。