【2022年4月】ブルガリア北西部の町、チプロフツィのゲストハウス、Torlacite Kashta でようやく部屋の準備ができました。
食堂兼、織り手の職場である部屋の裏口から外に出て、階段を上がったところに部屋があります。
木造りの部屋で、窓と床にキリムが。
シンプルながら、味わいのある内装です。
そして、この暖かい部屋がありがたいほど、この日は寒かったのでした。
荷物を置いて、街歩きに出かけます。
寒いうえに、雨模様。
その上、日曜日ということもあってか、町は閑散としていました。
古びたトラックがあったり、檻の中にヤギがいたり、とっても地味な田舎町といった風情でした。
カーペット織についても、かつてはもう少し栄えたのでしょうが、今は廃れているイメージ。
一軒、店がありましたが、閉まっていました。
わびしいこのイメージは、でも、天気のせいかもしれません。
ぐるっと歩き回って宿に戻り、さて夕食はどうしようかと思って主人のイリヤにレストランがあるか尋ねたら、「うちで食べるといい」というので、そうすることに。
一休みした後、6時半から夕食となりました。
まず、自家製ラキアが振舞われた後、定番のショプスカサラダ。
それから、この土地の郷土料理だというトゥシュカ・ス・ボップというピーマンの豆詰めが出されました。
見た目どおりの素朴な味わいです。
ピーマンは時によって辛いこともあるそうですが、私のは辛くなかったです。
メインはオーブンで焼いた柔らかいポークと、自家製だという芋。
かかっていたハーブが私にはきわどかったですが、ポークが上質で、美味しかったです。
この夕食は、イリヤと奥さんのミレナも加わり、4人で食べました。
英語を少し話すのはイリヤだけですが、勘の良いミレナとは、お互い、言いたいことが伝わりました。
彼女は学校で社会科を教えているそうです。
二人には男女一人ずつ20代の子供があり、娘はドイツ、息子はソフィアに住んでいるとのこと。
カーペットを織るお母さんは、ここから40メートルほどの所に一人で住んでいるという話でした。
イリヤ自身は郷土愛の強い土着のおじさんで、ここを離れることなど考えられない様子。
「わしには3つのゴールドがある」と言います。
何かというと、川で集めている砂金と、育てているサフラン、そして「第三のゴールドは妻のミレナ」と言って笑いました。
田舎のおじさんにしては、ずいぶんと気の利いたことを言うじゃありませんか。
話していてだんだん分かったのは、日本のJICAがこの町の発展に協力している(していた?)こと。
日本人女性5人が泊って、お母さんに絨毯織を習ったことがあるのだそうです。
JICAが2年に1度、ここで会議を開くそうで、担当者のタイチという日本人が「我々の日本の息子だ」とも言っていました。
イリヤもそれほど英語が達者ではないので、会話はポンポン弾むというわけにはいきませんでしたが、楽しいひと時でした。
夜も更けて「レッカ・ノシュ(おやすみなさい)」と言って部屋を出たら、外はみぞれが降っていました。