【2022年8月】友達夫婦に誘われて、イングランドの貴族の館跡、クリブデンを訪れました。
数ヵ月前に行ったマーローの東9キロぐらいのところにあるお屋敷で、現在は歴史的建造物の保護を手掛けるチャリティー団体、ナショナルトラストが管理しています。
友達夫婦は、ナショナルトラストの会員。
彼らがおまけで貰った外部の人も無料になるチケットを持っていたので、メンバーでない我々も無料で入ることができました。
と言っても、一般市民が入れるのは、このお屋敷の庭だけです。
お屋敷そのものは現在、高級ホテルになっているため、泊り客しか入れません。
もっとも、日を限って、ツアー形式で内部を見せる日もあるようですが。
17世紀に建てられたこの貴族の館、友達によると、二つのことで有名なのだそうです。
一つ目は、1919年、女性として初めて国会議員になったナンシー・アスターの家だったということ。
二つ目はもうちょっと複雑で、1960年代に政権を転覆させた「プロフューモ・アフェア」というスキャンダルの舞台だったことです。
当時、陸軍大臣だったジョン・プロフューモという人が、この屋敷で開かれたパーティーで、ソ連の海軍武官とも通じている社交界のショーガールと出会い、不倫に至ったことが公になったというお話。
役職が役職だったため、個人の不倫問題にとどまらず、社会的な一大事に発展し、当時のマクミラン首相を辞任に追い込んだのだそうです。
私達は、二人が出会ったというプールは見られませんでしたけど。
そもそも、さかのぼると、この屋敷はバッキンガム公爵がお妾さんのために建てたものなのだそうで、スキャンダルも起こるべくして起こったのかも。
庭は広大で、友達夫婦は時々、ここに来て、散歩を楽しむのだと言っていました。
辺りの景色が見渡せるところにあるチャペルでは、係の人から話を聞くことができました。
バッキンガム公爵の時代にはティーハウスだった建物ですが、アスター子爵の持ち物になってからチャペルに。
金色を豊富に使ったモザイクが張り詰められ、大理石もふんだんに使われています。
ただ、大理石に見える部分の上部は、実は国産のアラバスターで、下部は海外から持ってきた赤紫と緑色の大理石だそうです。
モザイクはイタリアのムラノのガラスで、現地で作ってここに運ばれたとのこと。
床も大理石ですが、今は敷物で守られています。
係の人がその敷物をめくって、本物の床を見せてくれました。
残念ながら、チャペル内は写真厳禁でした。
私達はそれから、自然の中の長い階段を下って、庭の端を流れるテムズ河畔へ。
ここでボートに乗ることもできるようでした。
それから川べりには、いくつかコッテージが並んでいて、それを借り切ることも可能なのだそうです。
その他、草に埋もれた劇場跡を見たり、緑の人工芝生が敷かれたLong Gardenを通ったり、「愛の噴水」を眺めたり、Water Gardenを歩いたりしたのでしたが、地図を見てみると、私達は広大な庭のごく一部をかすっただけのようでした。
天気が良かったおかげで、気持ちの良い散歩ができました。
普段は接点のない貴族という種族について考えたりしながら。