【2025年4月】イタリアのパルマで満足のいくランチを済ませた後、今度はパラッツォ・デッラ・ピロッタを目指して歩きました。
16世紀末~17世紀初頭にできた宮殿ですが、目的は中にあるファルネーゼ劇場です。
どこかで写真を見て、一度、実物を見たいと思っていました。
この宮殿には最初から、官邸や軍事倉庫など多機能があったそうですが、今もこの劇場のほか、図書館、考古学博物館、美術館を備える複合観光地です。
入るのに€18かかりました。
ファルネーゼ劇場は木造です。
豪華ながら、その木の持つ温かみが魅力的。
ただ、なぜか暗かったです。
平土間には椅子はなく、周囲にはベンチ型の椅子があるのですが、そこへは上がれないようになっていました。
定期的に、この劇場に関する短いビデオが見られます。
腰掛けられないので、我々はべたっと床に座って観た次第。
この劇場ができたのは1618年。
当時トスカーナ大公だったコジモ・デ・メディチがやってくるというので、この宮殿の主、ラヌッチョ・ファルネーゼが武器庫だった場所に劇場を建設しました。
自分の息子とメディチ家の娘を結婚させる交渉が目的で、大公を感心させるために、当時としては、最新鋭の劇場を作ったわけです。
ところが、コジモ・デ・メディチさんは病気のため、旅行を延期。
歓迎式が取りやめになり、劇場もそのまま、なんと、10年も放っておかれたのだそうです。
1628年になって、息子とメディチ家の娘の結婚が実現し、その時、初めて劇場が使われたという話です。
でも、劇場を作ったラヌッチョ・ファルネーゼは、1622年に死亡しましたので、何も見ないでこの世を去ったというわけ。
最高3000人を収容できるというこの劇場は、宮廷劇場としては大きすぎるため、その後もあまり使われなかったようです。
第二次大戦の時の空爆で、大部分が焼失したのですが、1956~62年に忠実に再建したため、今、私たちも見られるわけです。
現在もイベントに使われることがあり、平土間には椅子を並べるそうです。
この裏側が劇場に関する資料などのちょっとした博物館になっていました。
座席の木組みが天井となっていて、ちょっと面白い造りでした。
同じ階にパラティーナ図書館があったので、入ってみました。
こちらも印象的。
劇場は木の匂い、こちらは古い書籍の匂いが漂っていました。
この図書館は18世紀にできたもので、当時としては先進的な公共図書館だったそうです。
中世の写本、ルネサンス期の人文学書など、70万冊が収蔵されているとか。
感嘆のため息が出ました。
これで、今回のパルマ見学はおしまい。
本当はフレスコ画が有名なカメラ・ディ・サン・パオロも観たかったのですが、訪れたのが火曜日で、お休みでした。
なので、近所のバーでスプリッツを飲んで、帰路に就いた次第です。