カルピの大聖堂

カルピの大聖堂

【2025年6月】イタリアのエミリア・ロマーニャ州への小旅行、最終日にはチェックアウトの後、前日に歩き足りなかったカルピの町に戻りました。

イタリア、エミリア・ロマーニャ州のカルピの大聖堂の外観
ピンク色の大聖堂

広大な広場、ピアッツァ・デイ・マルティーリの奥にある大聖堂が主な目的地です。

正式名はサンタ・マリア・アッスンタ大聖堂というこの大聖堂は、1514年に建て始められたそうです。

ここを治めていたピオ家の領主で人文学者でもあったアルベルト・ピオが、カルピをルネサンス都市として整備したい意思を持って、建設を始めたとのこと。

けれど、アルベルトは、神聖ローマvsフランスの紛争(イタリア戦争)に巻き込まれ、フランス側を支持したため、亡命せざるを得なくなったそうです。

その後、カルピを支配したエステ家は、カルピを重要視しなかったため、大聖堂建設は未完のまま。

イタリア、エミリア・ロマーニャ州のカルピの大聖堂のドーム
きれいなドームを見上げる

ようやく、エステ家の下、政治が安定していた18世紀になって工事が再開され、今の姿になったのだそうです。

外観がピンク色なのですが、これは使われている地元産のレンガが時を経て淡い色になったからだとか。

中は黄色が多く使われた内装でした。

大きなドームがきれいです。

私たちが入った時に、オルガンが流れていて、最初、雰囲気作りのために録音したものを流しているのかと思ったのですが、実際に人が練習しているのでした。

イタリア、エミリア・ロマーニャ州のカルピの大聖堂のオルガン
音が聞けたオルガンは16世紀のもの

祭壇の向かって左側に、いかにも古そうなオルガンがありました。

1540年に作られたものだそうです。

ただ、全体的にそれほど古く見えなかったのはなぜかというと、ここもコッレッジョの教会と同様、2012年の大地震の後に耐震性を強くして修復し、2017年に公開されたからなのでした。

美しい音楽とともに美しい教会が観られて、ラッキーでした。

ところで、ここに来る前、駐車場からの道中にも、とても大きな教会がありました。

レンガに穴がぽつぽつ開いている外観で、興味がわいたのですが、こちらは改装中で閉まっていました。

イタリア、エミリア・ロマーニャ州のカルピにある大きな教会
修復工事中だった大きな教会

夫によると、エミリア・ロマーニャ州はイタリアの中でも信仰心が篤い半面、政治的には左派の力が強い地域だとのこと。

彼が言うには、昔々、神父さんと共産党系の町長との言い争いを軸にしたドラマがあったといいます。

イデオロギーの違いを際立たせながらも、村を良くしていこうとするところで一致していて、ユーモアたっぷりの人情劇だったそうです。

調べてみたら、「ドン・カミッロとペッポーネ」という小説をドラマ化したもので、エミリア・ロマーニャ州の架空の村を舞台に、戦後のこの地方の様子をうまく表しているのだそうです。