【2021年10月】ロンドンのセイジ・ダンス・カンパニーのことは、今年に入ってから知りました。
数あるダンス・カンパニーの中でも、特異な存在です。
何がかというと、年齢です。
このカンパニーに入るためには、55歳以上でなければなりません。
2010年に設立されたグループで、クラシック・バレエを基本としているそうです。
率いているのは、元ロイヤル・バレエのソロイストのサイモン・ライスという人。
この人は日本のKバレエカンパニーのために振り付けしたり、客演したこともあるようです。
規則が厳しくて、ロンドンの北部のスタジオで週2回やっているリハーサルに必ず出席しなければなりません。
「そのくらいしないと、振り付けが覚えられないのよ。この年齢になるとね」と団員の一人が打ち明けていましたが。
入団するためには、ちゃんとオーディションがあるそうです。
でも皆が元プロというわけではなく、熱意をもってダンスに取り組む熟年たち、といったところでしょうか。
このほど、彼らの公演があったので見に行きました。
町の公会堂のようなところで、入場は無料。
でも事前予約が必要で、私がネットをチェックした時点では、予約の枠が埋まっていました。
なので、知り合いを通じて、入れさせてもらった次第。
それほどの人気なのです。
予約が取れなかった人々がほかにも来ていて、二階席に案内されました。
演目は、サイモン・ライスが振り付けしたCiaccona という題名のバロック音楽を使った作品。
白い衣装に身を包んだ10人ほどの熟年女性達がエレガントに舞いました。
確かに、リハーサルを積んだ跡が見られる踊りで、ちょっと表情は硬かった気がしますが、感心しました。
写真が撮れず、残念。
この公演は、セイジ・ダンス・カンパニーが軸になり、他のダンス・グループを集めたもので、ほかに、コンテンポラリー、ヒップポップなどのダンスも見られました。
フィナーレでは、セイジの人々とヒップポップのグループのコラボレーション。
おばあさん達が軽快にヒップポップを踊る様子には驚愕したことでした。
それにしても、加齢のせいで諦めるということなく、好きなことを真剣に続けている人々がいるというそのことが喜ばしいなあと思います。
パンフレットに書かれたモットー(?)によると、「年を取るからダンスを辞めるのではなく、ダンスを辞めるから年を取るのだ」そうです。