【2017年5月】チェコのモラヴィア地方にあるブルノの町の無料ウォーキングツアーの続きです。
キャベツ市場広場から、聖ペテロ・パウロ大聖堂への坂道を上りました。
その途中に大きな顔の壁画が。
この国のミロシュ・ゼマン大統領の顔です。
そこには「あんたが大統領になれるんだったら、誰でもなれるさ」と書いてあるのだそうです。
その近くの壁は、政治的な落書きを書きつける壁として定着しているとのことでした。
そして、大聖堂に着きました。
ガイドのマーティンがここでまず、「10コルナ硬貨を持っている人いますか。このコインを見てください」。
なるほど、10コルナ硬貨には、この大聖堂が彫られてありました。
これはブルノ市民にとって、非常に重要で誉れの高いことなのだそうです。
マーティンは「(ガイドブックの)ロンリー・プラネットなんか『プラハとその他』という形で、プラハ以外を蔑ろにしている」と例を挙げ、世界的にブルノの存在感が薄いことを嘆き、「ブルノはチェコ第二の都市というだけでなく、モラヴィアの首都なんですよ」と胸を張りました。
確かに、大昔(紀元10世紀ごろまで)モラヴィアは一つの王国だったようです。
もっと時代を下って17世紀の宗教戦争、30年戦争のとき、この町はスウェーデン軍の攻撃を受けたそうですが、4か月間、町を守り抜いたそうです。
攻防どちらも力が付きかけた最終段階、スウェーデン側が「あと一日半攻撃を続けて成功しなければ、撤退する」と決めたのを聞いたブルノの市民が、大聖堂の正午の鐘を午前11時に鳴らして、スウェーデン軍を早めに撤退させたという逸話があります。
それで今でもブルノでは午前11時が大切な時刻で、大聖堂の鐘が鳴り、自由広場の弾丸時計からボールが飛び出すのだそうです。
大聖堂は14世紀に建てられましたが、城壁のすぐ内側にあるため、何度も攻撃されてダメージを受け、そのたびに修復されてきたといいます。
この辺りは高台で、見晴らしもよく、向かいの丘にはシュピルベルク城が見えます。
この近くで初日に私達が見た花火は、夏の間、週に二回もやっているそうです。
ところで、ガイドのマーティンが何度も言ったことですが、「ブルノで面白い物を見たいなら、上を見ろ」。
その一つが、聖ヤコブ教会の南側の窓の上にある小人の像です。
大聖堂に向けてお尻を丸出しにしています。
角度によっては、頭が二つ見えて、男女が交わっているようにも見えます。
この聖ヤコブ教会は丘の上の大聖堂とほぼ同時期に建てられたのですが、こちらの石工のほうが腕が良く、仕事が速かったのだそうです。
それに嫉妬した大聖堂側が、財力にモノを言わせて、この石工をクビにしたといいます。
それで、この石工が最後の仕事として、この像を加えたのだそうです。
一時間半に及んだウォーキングツアーでは、まだまだたくさんのことを学びました。
無料のツアーなので、博物館など有料施設には入らないのですが、説明を聞くと行ってみたいなと思うところもいくつか。
正直、ブルノはプラハほど風光明媚ではないので、ぶらぶら歩いているだけでは得るものが少なく、このツアーに参加して本当に良かったと思いました。
ガイドのマーティンは最後に「ツアーは楽しめたでしょうか。もしつまらなかったら、私の名前はハンス。楽しめたのだったら、私の名前はマーティンです」と言って笑わせました。