【2019年7月】カナダのモントリオールで、ノートルダム聖堂を見た後、目の前のダルム広場に出たら、ジャズの生演奏が聞こえてきました。
モントリオール・ジャズフェスティバルはすでに終了したのでしたが、その余韻が残っていたようです。
サキソフォンの女性1人と、男性5人のバンドで、育ちが良さそうな青年たちです。
夫の好きなタイプのジャズだったので、しばらく、そこで聞きました。
気付いたら立て看板があって、夏場の平日、12:00~13:00に、この広場で毎日、生演奏をしているとのこと。
たまたまこの日は、Uncle Funkle というこのバンドだったというわけです。
ちなみに、このダルム広場はカナダに渡って来たカトリックの宗教者たちと、原住民の間で激しい戦いがあった場所なのだそうです。
今はいかにも市民やツーリストの憩いの場といった風情。
客待ちの馬車が並んでいました。
この広場を囲む建物のうち、煉瓦造りのものは、1888年にこの町で最初にできた高層ビルで保険会社の建物。
その隣は、エンパイアステートビルに倣って1931年にできたビルで、アールデコ調の内装なのだそうです。
広場の真ん中に立つ像は、ポール・ドゥ・ショメディ・メゾンヌーヴというモントリオールの創設者。
広場を挟んでノートルダム聖堂の向かい側には、カナダで最初にできた銀行、モントリオール銀行の建物があります。
ガイドブックには、ローマのパンテオンをモデルにして、1847年に建てられたと書いてあります。
この銀行内にちょっとした博物館があり、古いお札などが並んでいました。
まるで宮殿のような内装のこの銀行は、今も普通に稼働しています。
その外にちょっとおどけた感じの像があるのに気づきました。
銀行のそばに立つ像は、シャネルのスーツに身を包んだフランス女性で、プードルを抱え、銀行に向けて怒ったような眼差しを投げかけています。
そこから640メートル離れた所には、気取った英国紳士の像があり、パグ(ブルドッグに似た小型犬)を抱え、ノートルダム聖堂を見下すような表情をしています。
それぞれの像の脇に説明板がありました。
この二体の像は、2013年に地元のアーティスト、マーク・アンドレ・ジャック・フォルティエが作ったもので、英国系、フランス系の二種類のカナダ人の文化的な差の大きさを表しているものなのだそうです。
銀行は英国の権力を象徴し、ノートルダム聖堂はフランス系カナダ人による宗教的な影響力を象徴しているとのこと。
デザインは、北イタリアで生まれ16~18世紀に欧州で流行した仮面をつけた即興演劇、コンメディア・デッラルテを念頭に作られているため、コメディー風の趣があるというわけです。
説明書きには二種類のカナダ人を表現しているとありましたが、そのまま、隣国でありながら文化的に大きな隔たりがある英国人とフランス人を表しているともいえそうでした。