【2018年4月】イタリア中部のアブルッツォ州にあるスルモーナ訪問の続きです。
目抜き通りのコルソ・オヴィディオ通りを南から進むと、右側に大きな広場、ピアッツァ・ガリバルディが広がります。
伝統的に市が立つ広場だったそうで、実際、この日もマーケットが開かれていました。
でも、その手前に視野を遮るものが。
この町の象徴とも言えそうな中世の水道です。
1256年に建てられたもので、周りの山々から新鮮な山水を引いているのだとか。
今も稼働しているそうで、広場の脇、水道の先端にある噴水の水は飲めるとのこと。
ホントかな、と懐疑的だったのですが、通り過ぎて振り返ったら、ちょうど男性がペットボトルに水を汲んでいるところでした。
21世紀の人が、13世紀の人と同じ場所で、ほとんど同じ動作をしていると思うと楽しいですね。
この町では、毎年、復活祭の時に独特のお祭りがあるそうです。
ピアッツァ・ガリバルディ広場の一角にサン・フィリッポ・ネリ教会があります。
毎年、復活祭の日曜日、私達がすでに見学したサンタ・マリア・デッラ・トンバ教会からマリア像がこのサン・フィリッポ・ネリ教会に運ばれます。
息子であるキリストの死を憂えて黒装束のマリアなのですが、キリストが復活したというニュースを聞いて、半信半疑のまま、サン・フィリッポ・ネリ教会から出てきます。
最初はゆっくり前進するのですが、ちょうど中世の水道の真ん中のアーチ辺りにしつらえられた天蓋に自分の息子の姿を認めた途端、黒い服がさっと希望の色である緑の服に変わり、息子めがけて突進するのだそうです。
つまり、マリア像を抱える人が全速力で走るということです。
何だか、とても人間的なドラマですよね。
黒装束から緑の服に変わる仕掛けは、この祭りを組織する信徒会の秘密なのだそうです。
この一連の動きが何の問題もなく進行すれば、それからの一年が順風満帆、もし何か支障があった場合には、天災など悪いことが起こると言われているとか。
特にマリア像が落ちて壊れるようなことがあれば、人々は非常に心配するそうです。
実際、1914年と1940年にマリア像が落ちたそうで、確かに、両年とも戦争がはじまりました。