【1996年9月】中国の新疆の都会、ウルムチからバスで天池へ日帰り旅行をしました。
ウルムチの人民公園北口でバスを待つ間、小さい肉まんを朝食代わりに食べてみました。
三つ食べてみて、とても美味しかったので、二つ追加したほど。
5つで2元(当時、1元=約13円)でした。
天池は国立公園なので、入るのに入場料が要ります。
ガイドブックには5元とあったのですが、30元に跳ね上がっていました。
ツーリストの一人が4日前に値上がりした、と話していました。
値上がりもさることながら、このチケットを買うのが一苦労。
列を作らない国民なので、窓口の前で、我先にと真剣な押しくらまんじゅうが展開されました。
人口の多い国なので、子供のころから、こうやって戦わないと欲しい物が得られなかったのかもしれません。
公園内に入って少し歩くと、その湖が見えてきます。
天気が良好で、景色には目を見張るものがありました。
氷河湖だという湖は、深い緑に少しだけ白を混ぜたような色。
周りは深緑の針葉樹、紫色の山、そしてさらに向こうには5445メートルあるというボゴダ山が白い頭をのぞかせていて、真っ青な空に映えています。
ウルムチ市内よりずっと涼しく、セーターを着てきてちょうど良かったです。
観光向けの馬に乗ってみました(20元)。
ほんの少しの距離でがっかりしましたが、一段と高い位置から見渡した景色はまた抜群でした。
その後、向こうから人の好さそうな顔をしたお爺さんがやってきて、ユルトで昼飯を食べないかと身振りで言うので、ついて行きました。
ユルトは、ゲルとかパオとも呼ばれる遊牧民の家屋である丸いテントで、天池に着く前の道中でもいくつか見かけました。
カザフ人かと思われる人々が、その周辺で羊の世話をしたり、馬に乗っていたりしていました。
天池の公園内にある物はおそらく、観光客向けでしょうけれど、やはり、ここで暮らしている様子はうかがえました。
入ると、お姉さんが、どうやら羊の乳をお茶で薄めたらしい飲み物とパンの類をどっさり出してくれました。
パンは半分は揚げてあるもので、柔らかかったです。
加えて、「ケバブを食べるか」と聞かれたので、うなずくと、しばらくして10本出てきました。
ビールも勧められたので、一本頼むと、何と、そのお爺さんが歯で栓を開けたので驚きました。
ユルトの骨組みは赤い木材でできていて、それに厚いフェルトがかぶせてあります。
門は木製です。
フェルトを巻き付けている紐がキリムのようでした。
地面の半分は土のままで、残りにはフェルトが敷いてあって靴を脱いであがります。
真ん中に煙突付きのストーブがあり、周囲には家財道具が所せましと置いてありました。
結局、食事を含めたこの訪問は全部で70元。
予想したより高かったので、一瞬引きましたが、事前に値段交渉をしていなかったので仕方ありません。
面白い体験ではありましたが、ここの人々にとって、観光客は金づるでしかなく、石林で経験したような真のもてなしは感じられませんでした。