【2022年9月】イタリアのシチリア島、シラクサで過ごした二週間余りでしたが、とうとう最後の晩になりました。
いつもの夜の散歩でオルティージャ島のPiazza Duomoに差し掛かると、あるお屋敷の2階の窓が開いていて、美しい天井が見えました。
そして、そこにいる人々は住んでいるのではなく、見学している様子。
一般人も中に入れるようです。
私達が行き当たったこのお屋敷は、Palazzo Borgia del Casale という名前。
一人€7(970円ほど)で、1組につき1つのタブレットを貸してくれて、それで説明を聞く形。
さらに、ドリンク1杯付という嬉しいアレンジでした。
階下から見上げた時に見た天井が確かに素晴らしかっただけでなく、壁やシャンデリアも、いかにも宮殿風で素敵です。
昔の衣装などが飾られていました。
それから、立地の良さ。
大聖堂を望むPiazza Duomoの隅ですから、オルティージャ島のまさに中心です。
数日前に訪れたラグーサの男爵家もPiazza Duomoに面していましたから、この立地はステータスシンボルなのでしょう。
タブレットの説明によると、パレルモやナポリの社交界にあこがれていたシラクサの貴族は18世紀、こうした屋敷を築くことで、そうした社交界を真似たのだそうです。
1760年にこのお屋敷を建てたのは Giuseppe Maria Borgia という貴族で、Casaleという男爵一族のメンバー。
そのCasale男爵というのは、チェーザレ・ボルジアで世界的に有名なボルジア家と、地元に根付いた大昔からの貴族 Impellizzeri家の血を引く人なのだそうです。
この建物はもともとは、14世紀末にスペインのアラゴン家が建てたもので、それを改装したのだとのこと。
そういう話を聞くと、縦横に入り組んだ欧州の歴史を思うわけですが、その上に、どの時代にも、為政者の下に名前が残らなかった私達のような一般ピープルもいたことに思いを馳せます。
それにしても、プロセッコ1杯付というのは、本当に良い趣向。
グラス片手に歩き回り、窓から外を眺めたりすると、まるで、お屋敷のパーティーに招かれたような気分になれるではありませんか。
一般公開したのは割と最近らしく、2009年に、フレスコ画の元来の色を取り戻すなどの改装をしたそうです。
このお屋敷訪問で、最後の晩まで充実感を得られた本当に良いホリデーでした。